先ず行う。その言や、しかるのちにこれに従う
嶋 徹
序章
人が生まれて死ぬまにでどれだけの事象を理解できるのか?大抵は自分に関わらないことを知ることはないだろう。裕福な資産家が破産の手続きを知らないように、自殺を望まない方が自殺防止のホットラインの連絡先をしらないように、そして、また物事の真理を知るために共同条理の原理を理解しようとはしないように……。
僕はある日、持っている全ての薬の袋を破り皿に積み上げていた。30日分はあったので致死量には達していたと思う。これをウイスキーで流し込むつもりでいた。
鬱病で1年半は寝て過ごしていた。妻は献身的だった。死ぬことがいいとは思っていなかったが死にたかった。先に書いたように、身勝手で迷惑な話だが当事者でなければわからないことだ。
妻が帰宅した。
「飲んだと?」さすがの妻もあわてていた。「のんでない、いまから」その先、妻が何を言い、自殺を辞めたのか覚えていない。
それから先の人生もやっぱりあの時「死んでおけばよかった」と思うことが多かったけれど人生ってこんなものなのかなとも思ったりもする。
いまから始まるお話は「先ず、行動」を「見る前に、飛べ」を念頭に書きたいと思っている。行動してみて上手くいけば正解。だめなら改める。正解が後で不正確になることもあれば、改めたことがまただめにこともある。
僕は無神論者で実家の仏壇に手を合わせるくらいだが、亡くなった父の叱りつけと守りを感じることがある。例えば車を運転中にあと少しで人をはねそうになったり、悪態ついた後、仕事をしくじったり。自分の取った行動がその後の結果として表裏として表れる。父に叱られいるような感覚を持つ。これらは気のせいではないように思われる。この思いはかなり確信に近い。
世の中は見えないが、何かしらの力でバランスが保たれているような気がしてならない。私にできるのは正しく生きることだけだ。正しくとは自分の正しさではなく社会通念上の正しさだ。自分の正しさほど当てにならないものはない。
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