愛火学園探偵部~盗まれなかった⁉宝石のなぞ~

青柴織部

ようこそ、探偵部へ!

第1話 『不思議な手紙』

 学びたいことを学ぶ、がモットーの愛火学園《あいびがくえん》。

 そこに晴れて入学してから三日目の朝のこと。登校したわたしこと花咲ノバラの席に青色の封筒が置かれていた。

 わたし宛だけれど、差出人の名前は書いていない。

 開けてみると紙が一枚。中に書かれていたのは……


『問一。校門から昇降口まで桜の木は何本あった?』


 そんなへんてこな問いだ。


『問二。入学式の日、校長先生のネクタイの色は何色だった?』


 そして最後。


『問四。私たちはどこにいるでしょう?(放課後に来てね!)』


 わたしは何回も手紙を読み返し、首をひねる。

 いったい誰が、どんな理由でわたしに問題を出してきたのだろう?

 不思議な気持ちと同時にわくわくとした気持ちがわきでてくる。


「おっはよ、ノバラ!」

「あ、こはくちゃん。おはよう」


 隣の席の椎名こはくちゃんが、元気なあいさつとともに声をかけて来た。

 とても明るくて元気な子で、ちょっと人見知りなわたしの愛火学園での最初の友達だ。

 そしてわたしの持っている手紙を見て「んん?」と不思議そうなかおをする。


「なあに、それ。さっそくラブレター?」

「ち、ちがうよ! なぞなぞみたいな手紙がわたしの机に置かれていたの」

「なぞなぞ?」


 内容を見せると、こはくちゃんは眉間にしわを寄せた。


「桜の木なんか数えていないし、校長先生のネクタイの色なんて全然見ていないし、なによりヒントも無いのに探しに来いってなに!?」


 ころころと表情を変えるこはくちゃんを見て思わず笑ってしまう。

 しばらく手紙とにらめっこしていた彼女は、わたしに手紙を返した後に聞いてきた。


「ノバラはこの問題が解けたの?」

「解けた、かも」

「自信持ちなさいよ! じゃあ放課後、差出人を探しにいくってわけね!」

「そうしようかなって思ってる」

「アタシも行く!」


 きらきらとした目でこはくちゃんは言う。

 わたしもひとりで行くのはちょっと不安だったのでほっとした。


「いっしょに行こう」

「うん!」


 授業のオリエンテーションを受けながら、わたしは放課後をどきどきと待ちわびていた。

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