新説・異都風夏機関ジグとザグ
君は本を
君は夢も
君は安直に落ちました。
夏の都市のゴミ捨て場。
ほつれたロープで
残暑の心尽くしも
神様の
遠くから、
君は人形になりますか?
君は偶像になりたいですか?
今からどれだけ
君の
そのことが、僕には、
近くの踏切から、
夏の都市のゴミ
未来への夢を心に
ああ、ほんとうの彼女を忘れてしまう前に、せめて、最後に、思い出させて。
夢を語り合ったとき、彼女が読んだあの絵本の結末は、なんだったっけ――。
「そし て、■■■■■を浴 びた ■い毛並みの猫だけ が生き 残り、■■■■■■■■■■■■■■(原文ママ)■■■■ましたとさ
おしまい」
彼女の大好きな絵本は、読み手の想像の余地を残すために、ラストは最初から黒黒黒黒黒黒黒黒黒黒、になっていたそうです。
なんだよそれ、と、その時読み聞かせに付き合った僕は思ったものです。
けれど、投げやりな結末に隠されていたのは、言語化できない、心の裂けそうなほどの叫びでした。
本を選んだ真意に、今更、僕は泣きました。
君がいちばん好きな本は、そんな思い出の絵本じゃありませんでした。
君が本当に描きたかった絵は、違いました。
ああ、願いが叶うとしたら、八月末を越えた先にある、彼女の知らない世界で、彼女の新しい絵が、見たかった。断言できます。
「キーコ、キーコ、ラック、ラック。
それは、車輪がぐいぐいとまわってゆく音。
頂点で何年も止まっていた車輪が、もういちどゆっくりと降りはじめた音。
私達はもうすぐ閉じ込められた観覧車を降りるでしょう。そんな、
そして、いつか私が、自分のほんとうの夢と気持ちに正直になれる時の音。
おしまい。 」
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