氷菓子

 往来と人ごみ、進んで、避けて、押して、辿り着いたのは、果実のオリジナルにゆがめられた空想、そして菓子折りの金属器の虚栄きょえい


 子らに踏んづけられた仲間運び、ありは駄菓子屋のきしんだガラス戸こじ開ける。


 さらにコンクリの地べた観察して笑う少年少女の空白の自由研究、ホコリ被った科学雑誌の不人気の反証。


 果糖ブドウ糖液糖吸い尽くす子らの純粋なる口唇欲求こうしんよっきゅう、ポケットの中の30円、遊びは145.3センチメートル。


その瞳で青空見上げたら赤い赤い踏切と石造リの白い仏像。


 線路の上まっぷたつのマンガン電池に叩きつけたら薄くナるアカキャベツ色素の幻想。


 一緒クタになって飛び込んだ蟻の体液吸い尽くす砂利と、枕木の下のひび割れたアタリ棒、既ニ救命ハ不要。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る