苦しいときは後ろならえ

菜々木 葉

苦しいときは後ろならえ

孤立してでも逃げずに過ごした日のおわり

一人車の中でぐずぐずに泣きはらす

ああ 人のいるところに帰りたくない

弱った私を許せない

孤立が嫌いなのに孤立に見初められて孤立をあいするふりをする

本当は一目置かれたいのにほらポンコツだから

人と接してきた時間の少ないせいかしらね

それでもすがるのはこのときまでの時間 少ない経験値

あのときもあのときも私は耐えた

一人ぼっちでも罵倒されても私は立ち続けていた

ときに逃げ出したこともあった

大したことないことでよく泣いた

ちょっとしたことで今も泣いた

精神的に幼い私

幼いながらも茨が張った道のりを裸足でかまわず歩いていた

(靴を履けばいいのに)(避ければよかったのに)

(避けられない)(だからポンコツなんだ)


さてそろそろ帰らねばならぬ

歩いた道のりを感じてその先も歩き続けねばならぬ

本当のおわりに辿り着くまでは私は歩き続けなければならぬ

涙を乾かして さあ、かえる

後ろにならって 身体は前を向いて帰らねばならぬ

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苦しいときは後ろならえ 菜々木 葉 @nanakiyou

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