(四)-3

 おかげで私は呆気あっけにとられ、小さな声でおざなりに「初めまして」と返事することしかできなかった。

「ちなみにこの人、歳は俺の二個上だから、君の三個上になるね」

 そう聞いて、私は思わず「ええっ!」と大声を上げてしまった。

「しかも、私、結婚もしているんです。旦那は三つ歳上の大学の先輩です」

 本人からそう聞くと、さっきよりもさらに大声で驚いてしまった。

「私って、ほら、子どもっぽい性格しているでしょう。服もこういうのが趣味だし。だから、十三里君みたいな頼もしい後輩がいると、嬉しくなって、思わず腕にしがみついたりしちゃうんです。学生時代からそういうことを男にするのは止めなさいって友達たちからもよく言われてました」


(続く)

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