(三)-2
しかし、この場の私を支配したのは理屈ではなく、感情だった。居ても立ってもいられなくなり、私は、彼の家を飛び出していた。
泣きそうだった。池上線の中では、なんとかこらえたが、心の中では既に涙の雨が降り始めていた。そして五反田で山手線に乗り換えたところで、それは体の中からあふれ出て、ついには目からもこぼれて流れ落ちはじめてしまった。
翌日の日曜日、一日中私と彼のことをアレコレ考えた。彼と一緒にいたい気持ちもあったが、これ以上信用できない気持ちも強かった。でも結局はどうしたら良いのだろう。考えれば考えるほど頭の中がぐちゃぐちゃになった。
だから夜になると、考え事しかしていなかったのに、ヘトヘトに疲れてしまった。結局、私たちはこれ以上関係を続けていられない。もう終わりなんだ。そんなことばっかり考えていた。
(続く)
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