凶竜の姫様
京衛武百十
プロローグ ~竜女帝~
それは、今から二百年の昔、新暦〇六二五年のことだった。
惑星<
<竜災害>とは、理由こそ分からないが人間を激しく憎む<凶竜>と呼ばれる存在が突如として現れ無差別に人間達を襲う災害のことをいう。
もっとも、<凶竜>とは呼ばれるものの、それらは必ずしも<竜>という言葉からイメージされる姿をしているとは限らない。実際に竜を思わせる姿をしている者もいれば、人間とそう違わない姿をしている者もいる。ただ、共通しているのは、
『とにかく人間を憎んでいる』
ということ。そして、途轍もない力を持っているということである。
中でも、新暦〇六二五年に現れた<凶竜>は、少なくない犠牲と共に人々の脳裏に強く刻み込まれることとなった。
それは、<竜女帝>とも呼ばれる、
<女性の姿をした竜>
であった。身長三メートルの巨体でありつつ、そのシルエットは明らかに人間の女性に近いそれだったのだ。とは言え、体は透明で、タングステンに匹敵する強度の鱗に覆われ、頭には大小十本もの角を生やし、鉄をも引き裂く爪を備え、長さ十メートルを超える尻尾を持ち、口からは炎の
人間達は、多数のロボットを従え、竜女帝に戦いを挑んだ。中でも、
エレクシア
メイフェア
イレーネ
マスラオ
ハートマン
グレイ
アンデルセン
の、<七賢人>とも称されるロボット達は、途轍もない力を発揮し、人間達に勝利をもたらしたという。
ただ、かろうじて人間達に勝利をもたらした七賢人ではあったが、この時の戦いのダメージにより、エレクシア、メイフェア、イレーネの三体が深い眠りにつき、マスラオ、ハートマン、グレイの三体も、体を失い、<人間の守護者>としての役目を後進に譲り、<神殿>にて人間達を見守る役目へと移ったとされている。
なお、<凶竜>は、強い<呪い>を持っているがゆえに完全には倒すことができないため、人間達の世界<
そこは、
そしてこの物語は、やがて<
<人間が住める場所>
を求め、
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