第5話 高校一年生、A子ちゃんとこっくりさん。

部活の日。

新しい環境にも慣れてきた頃、部活では先輩達に霊感有りと認定?されていたA子ちゃんと私。

部活終わりに部室の掃除しながら1年生の5人と先輩2名で何故か話題が心霊系でした。


まぁ、部室が出る所ですからね、話題に上がりますよね。

そして、何故かこっくりさんの話題になり、先輩達が見てみたいと言いました。

見た事無いそうで。


1年のうち、やった事あるのは私とA子ちゃんともう一人居ましたがその子は拒否しました。

私もあまりこの部室ではやりたくなくて曖昧な返事をしていたら

A子ちゃんが

「1人こっくりさんでもいいんですか?」

と、先輩達に告げていました。


私はこっくりさんって数人で行うものだと思っていたので驚きました。


(一人でも出来るんだー)位にしか思ってなかったですね、マジで。


結局、A子ちゃんが一人こっくりさんをやることになり、部室の真ん中に椅子と机を準備し、急いでコピー用紙に書き込んで準備しました。


「こっくりさんって一人でも出来るんだね」

「うん、私に白狐憑いてるからたまに家で一人で遊んでるの」

「そうなんだ、白狐いいなぁ。」


きっと白くて毛がサラッサラのふわふわなんだろうなぁ。とかズレた事を思いながら一人こっくりさんを見守りました。



A子ちゃんが椅子に座り、準備万端になった所で周りで皆で見てました。


暑い日だったので窓や出入り口などは全て開いています。


「じゃぁ、始めます。」


A子ちゃんが告げていつものこっくりさんを呼ぶ言葉を言う。


すぐに十円玉は動き


A子ちゃんが自分に憑いている白狐が来たことを確認した。

「あなたは○○(白虎の名前)ですか?」

すーっと鳥居からスムーズに はい へと動く。


先輩達は驚きとワクワクで見守っていました。

私も見ていましたが特に変わった様子もないので着替えてくるーと隣のロッカールームへ移動しました。


先輩達が聞いてみたいことを聞いたりA子ちゃんが質問したり普通のこっくりさんと変わらないで行われていました。


着替え終わって部室に戻ると肌寒く感じました。

いい天気で晴天なのに。

太陽の光たっぷり部室に入ってるのに。


気のせいと思い込みベランダの方へ移動し、ソフトテニス部の練習風景を見ていました。

部室は3階の為、動いてる人が少し小さく見えました。



1分弱外を眺めていたらサァーっと空気が重く変わったと思ったら「蜜柑ちゃん!」とA子ちゃんの焦った声が聞こえました

ベランダから後ろを振り向くと……


十円玉が同じような場所をゆっくりと回っています。


先輩や部活仲間達は机から離れて遠巻きにソレを見ています。

あぁ、変わったんだとすぐに理解しました。

ベランダからすぐに移動してA子ちゃんの隣へ行きます。


「文字は書いてるの?」

「しねって書かれてる」

「白狐ちゃんじゃないね、もう」

「白狐じゃない、違う、私……こんなことになったの初めて……」


A子ちゃんは初めての事に少しだけ焦っていました。


「とまりなさい」

相変わらずぐるぐるしている十円玉に話しかける。

「あなたは誰?男?女?」


すると、十円玉はぐるぐるするのをやめ、おとこ……と動きました。

この部室には男の霊はいません。

どっかから来たなと思いながら帰るよう促しましたが いいえ に行き、今度は

ころす と回り始めました。


回りから小さく「ヒィッ」と悲鳴じみた声が聞こえたが構ってられない。


「とまりなさい、私も指を置いていいですか?」


十円玉はゆっくりと回るのをやめ、私の質問に はい と答えたので右の人差し指を十円玉に乗せた。


「鳥居からお帰り下さい」

いいえ


「鳥居から帰りなさい」

いいえ


大抵は低級霊とか浮遊霊とか強いものが来ることはないと言われているこっくりさんなのでちょっと強気に出る


「私達はアナタに何もできないし聞いてあげられないから鳥居から帰りなさい」


若干放心状態だったA子ちゃんも落ち着いてきて

「元の場所に帰りなさい」と言う


十円玉は いいえ から動かない


A子ちゃんと二人で顔を見合い、頷いて同時に言葉を発しました。



「「鳥居からお帰り下さい。」」



渋々といったように十円玉がゆーっくり鳥居へと動き、空気が少しだけ軽くなりました。

二人で手を離し、A子ちゃんはすぐに紙をベランダに持っていき細かく千切りライターで火を付けキチンと手を合わせて炊き上げました。

私も軽く手を合わせましたが、A子ちゃんは燃え終わるまで手を合わせていました。

ベランダと部室内を片付けて帰ろうとなってビックリしたねと言い合っていると顧問の先生が丁度来て「そろそろ施錠するから帰りなさい。」と言ったので、皆で部室をから、帰りました。

その後、部室ではこっくりさん禁止になりました。





一人こっくりさんを私はした事はありません。

あの対処で良かったのかもわかりませんが、当時は帰ってくれたからいっか。となりました。


残念ながら部活は夏休み明けに辞めてしまったのでA子ちゃんとのエピソードはこれで終わりになります。



夏休みは部活終わりにバイト三昧してたんです(8月だけで9万いきました。当時の時給は610円でしたw)




嘘みたいな本当にあったお話。

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