第九章 最後の一週間

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「はーいっ! というわけで!」

「わけで!」

「運命の一週間が始まっちゃいましたけども!」

「けども?」

「この一週間で泣いても笑っても最後ですからね。ポイント・オブ・ノーリターンでデビューするメンバーはこの一週間で決まっちゃいます」

「あ。でも。私、気づいちゃったんですけどお」

「お。どしたのどしたの?」

「栞さんより上の人たちはもう既にアイドルグループとしてデビューすることが決まった、みたいなものですよね? だって、最下位を連続で取ったら強制退出ってルールなんですし」

「確かに。そこんとこどうなんですか? 南野さん」

「そうなんですっ! 仰って頂いた通りっ! 栞さんより上の方々はもう安全圏!」

「やった! じゃあ、先輩はCDデビューですね? わーいっ! CD百枚買って先輩に握手してもらっちゃおー!」

「握手て。そんなん、プライベートでやってもらいなさいよ。ていうかまだ握手会やるとかなんも決まってないし」

「それよりそれより南野さん」

「どしたのどしたの関田さん」

「昨日の投票結果、荒れましたね~。わたくし、びっくりしちゃいましたよ」

「荒れました荒れました。なにせ薫子さんが五位から一位ですからねー。まあ、彼女を見てれば何となく納得出来ますけども。思わず好きになっちゃう子と言いますか。あ、変な意味やないですよー」

「分かります分かります。そして染夜愛さん。真逆の転落。彼女、二位、三位と来て今回五位ですからねえ。安全圏とはいえ、やはりあの告白は視聴者には衝撃だったようです」

「染夜愛さんの場合、デビュー時から奇跡の天使と呼ばれ、歌声はもちろんのこと性格の良さにも定評がありましたから。めっちゃええ子らしいですし、実際鼎ハウスでも毎日の料理やってくれるわ、弱音一つ吐かないわで」

「ただ投票グラフを見てみると高得点の割合は増えてるんですよね。それまで低く評価していた人たちがひっくり返るみたいに高得点に入れていて」

「一部の人のハートをがっちりキャッチ、みたいな感じですか?」

「そういうことですね。結果として順位に現れないのはもどかしい限りですけど」

「ううむ。僕も嫌いじゃないんですけどねー。ああいう考え方も。一回炎上した身としては痛いほど分かりますし」

「生身の言葉は時にナイフにもなりますから。みんなの評価が得られるとは限りませんね」

「おっ。宇津美ちゃん。えーこと言う」



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