「超越自然」138億年の物語

オジャマ虫

第1話「超越自然」

 人間は地球の大自然が創り出した最も高度な構造物だ。

 宇宙と共通する自然界のありふれた原子、分子を高度に組み合わせ、構造化し、機能化し、生命体として細胞を作り、DNAを持ち、代謝と自己増殖を行い、突然変異と環境適合で進化を繰り返して出来上がった高度な構造物なのだ。そんな途方もないことは、万物の創造主である神の仕業と言われているのだが、その神の実体は未だにだれにも分かっていない。

 

 その構造物は高度な能力をどんどん進化させ、これまでの大自然の創造能力を超越しつつある。高度高性能な大量の機械で大自然の造形を作り替え、山を削り、海を埋め、都市を作り、生物の遺伝子を操作し、生命体を自由に変化させ、光や電気電波を操作し、核分裂核融合を操り、スーパーコンピューター、AIを創り、宇宙船を創り、宇宙の成り立ちを解明し、宇宙の活用を図り、やがては万物の創造主にまで至るかもしれない可能性を想像させる存在だ。

 でも、果たしてそれは大自然の営みと言えるものなのだろうか?

 

 人間の身体はホモサピエンスが誕生した約20万年前から基本的には変わってないらしい。変化したのは食物摂取の内容変化や生活環境の変化により、手足が長くなったり、顎が小さくなったり、体毛が薄くなったりその程度だけ。脳の大きさ、重さもほとんど変わってないらしい。

 多分20万年前頃に誕生し、原始的な生活を送っていた当時の人間は大自然の一部でしかなかったと思う。小鳥やリスやサルのように。人間は脳も含めてその身体は、原始的な大自然の一部なのに、何が「自然ではない」ものを創る機能を営むようになってしまったんだろうか?何が「自然から離れ」「自然を操り」、恐れ多くも万物を創造した神に近づこうとしているのだろうか?そしてそれは可能なのだろうか? 

 そもそも何がの、その何って、いったい何なのだろうか?

やはり神なのか?ではその神とは何か?

しかし、その問いでは無限ループが続いてしまう。


 人間が自然でないものになってしまったことを解明するには、まだ自然な存在である猿との差異を抽出し、分析し、そこから自然から離れた根源は一体「何」なのかを究明するのが有効なのかもしれない。

まずはそこから謎を紐解いてみよう。

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