オリハルコンを換金して大金を手に入れる

「へい、らっしゃい!」


 俺は再び換金所を訪れた。俺にとっては再びの訪問ではあるが、今回は義妹(いもうと)のカレンを連れている。


「なんだ……どこかで見た顔だと思ったら、この前の坊主か。また金塊の買い取りか?」


 店主が聞いてきた。どうやら俺の事を覚えていてくれたようだ。


「……その隣のべっぴんさんは誰だい? まさか恋人とかいうんじゃないだろうな?」


 店主はカレンに興味を持ったようだ。好色な様子だ。男だったら大抵は異性に興味を覚えるのだろう。自然な事だ。


「お、お兄ちゃん……恋人だって。わ、私達、恋人に間違われちゃって」


 カレンはなぜか喜んでいた。俺は溜息を吐く。全く。カレンと俺に血縁はない。似ても似つかぬ見た目をしているので、兄妹とピンとこないのも無理はなかった。


「ただの義妹(いもうと)です」


「がーん……」


 カレンはがっかりしていた。全く、なぜがっかりする。恋人に間違われて何か良い事があるのか。


「そうか……別に客のプライベートな事なんてこっちもどうでもいい事だった。それで、何の用だ? 何か買い取って欲しいもんがあって、ここに来たんだろう?」


「ええ……その通りです。カレン、荷物をカウンターに置いてくれ」


「うん。わかった、お兄ちゃん」


 ゴト。ゴト。


 俺達はアイテムポーチから輝かしく光る希少金属。


『オリハルコン』を取り出した。


「う、うわっ! な、なんだ! この光はっ!」


 店主は眩い光に目を覆った。


「な、なんだ! この金属は、こいつは『オリハルコン』じゃねぇか! しかもこんなに沢山、一体、どこから手に入れたんだ? こんなに大量の『オリハルコン』長い事この仕事をやってきたが、持ってきた奴、一人としてみた事ないぜ!」


 店主は鼻息を荒くする。


「それはまぁ……秘密です」


 俺は黙秘した。そんな事教えるわけにはいかない。教えたら荒らされるに決まっている。


「まあいい……こいつを査定して買い取っていいんだな?」


「はい。それで構いません」


「しばらく待ってくれ」


 店主は『オリハルコン』の査定を始めた。俺達は待たされる事となる。


 ◇


「待たせたな。兄ちゃん、嬢ちゃん」


 店主が奥から出てきた。


「1個10000G。10個だから100000Gだ」


 俺は査定額を聞いて、軽い驚きを覚えた。金塊が1000Gだったから、その10倍か。やはり『オリハルコン』はそれだけ希少性の高い、金属なのだ。


「それで構わないか?」


「ええ。それで構いません」


「よし……すぐに金は用意させて貰うぜ」


「やった! お兄ちゃん! 明日の生活にも困ってたのに、いきなり私達大金持ちよ」


「喜ぶのはよせ。大金は大金だが、装備やアイテムを揃えていけばそう、すぐになくなりかねない」


 金は往々にしてすぐになくなるものだ。


「そうね……でも、また、あの鉱山から掘ってきて換金すればいいじゃない」


「馬鹿……下手な事をいうな」


「ごもっ、ごもっ」


 俺はカレンの口を塞ぐ。


【所持金】


 1080G→101080G


【所持アイテム】

 

 オリハルコン×10→0


 この状態に変化した。俺達は次の行動を起こす。


 ……と、その前に、少しくらい余裕ができたんだ。それに腹も減ってきた。


「カレン……飯でも食いにいくか」


「わーい!」


 カレンは無邪気に喜んだ。


「何が食いたい?」


「お子様ランチ」


「……カレン、お前ももう15だろ。いくら何でも幼すぎるだろ」


「お兄ちゃん、お子様ランチも侮れないんだよ。店によって、色々とバリエーションがあって、食べてて楽しめるんだよ」


「まあいい……お前が食べたいものを食べれは」


 換金所を出た俺達は街中のレストランへと向かった。本格的に得た資金を活用するのは、また今度の話になる。


 ◇


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後。

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