第8話
第8話
新年が幕を開けて5日が経った。初詣以来4人は集まっていない。それぞれ家族と過ごしていたのだ。
「なつ兄緊急集合!」
夏樹のゆっくり過ごそうという予定は中学1年生の妹咲によって破壊された。
「お兄ちゃんは今日ゆっくり過ごしたいんだが?」
それでもダメもとで抗議してみる夏樹。だがそんな抗議が通用するはずもなく「うっさい早く!」という一言で一蹴されてしまった。
「で? 新年早々なんで僕は呼び出されたのかな?」
「え? あそぼ!」
兄としては嬉しくもあるのだが咲はいまだに兄離れできていない。もちろん同級生に友達は多いみたいで週末になると我が家に連れて来るのだがそれでもやはり兄である夏樹が大好きなようだ。
(普通の中学生って反抗期とかで『は? うっさいしね!』とかいうんじゃないのか?)
そんなことを考えながらも咲を甘やかして結局遊んであげるところが夏樹のいいところである。
「何して遊ぶんだ?」
「よし! スマ○ラしよ!」
「せめて正月らしい遊びにしてくれよ……。」
何やらお年玉でソフトを買って早速したいらしい。咲は夏樹の呟きなど気にせず早速ゲーム機を起動してゲームを立ち上げている。
「1時間だけな。」
「うし! ボッコボコにしてやる! 遺書を書くなら今だよなつ兄!」
「そのままお返しするよ」
こうして兄妹対決は始まった……のだが30分ほどプレイしてひとつ夏樹は気付いてはいけないことに気づいてしまった。
(この子信じられないくらいゲームが下手だ……!?)
「うぅ……なつ兄勝てない……」
「もう一回するか……?」
「する!」
(ここは兄として負けてやるか。流石になんだか申し訳なくなってきたしな。)
そしてバレないように手を抜いて負けた夏樹は「くっそぉやるじゃんか咲……!」と白々しい演技をしていたが幸い脳みそのレベルが単細胞生物並みに単純な咲は「よっしゃあ! 乗ってきたよなつ兄! 咲の本気を見たかぁ!」と上機嫌である。
愉快な兄妹対決は当初の予定をはるかにオーバーして2時間続いていた。
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