それぞれの世界

勝利だギューちゃん

第1話

生物が最も活動する季節。


空を見上げる。

トンボが飛んでいる。


あれは・・・

オニヤンマ。


子供の頃はかっこいいと思っていたが・・・

あれにかまれると、痛いなんてものではない。


経験ないけど・・・


しかし、気持ちよさそうだ。


「気持ちがいいって?とんでもない」

一匹のオニヤンマが降りてくる。


「お前、人間の言葉がわかるのか?」

「お前が、トンボの言葉がわかるんだろ?」

「テレパシーだよ」

「俺もだ、」


打ち解けた(と、思う)


「オニヤンマの世界も大変みたいだな」

「まあな。限られた期間で、結婚して子供をつくらないといけないからな」

「ナンパの成功率は?」

「三日前に成功した」

「よかったな」

「でも、逃げられた」


振られたのか・・・


「昨日、成功した」

「よかったな」

「でも、オスだった」

「雌雄の区別もできんのか?」

「人間も、えらそうに言えるのか?」


言えません・・・


「じゃあ、俺はそろそろメスをさがすわ」

「ああ。成功を祈る」

「お前もな」


ひと夏の想い出が出来た。


数年後に彼の子供に会いたい。


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それぞれの世界 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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