めぐりの彼方
しゃんぷぅ
第1話 愛しき日常
これは、あまたある銀河の内の一つの、またその内の地球という惑星で、俺たちそして俺の両親に起きたことについて。
また、『時間』という概念の中のある一瞬に俺たちが確かにひっそりと生きていたという--
〜『証』〜
慣れない早起きなんかをして、
朝日が登るのを外に出て観たりなんかしてたら、なんだかすごく特別な気がした。
1人、みんな寝静まった中で孤独に輝く太陽の光を、身体いっぱいに浴びてみる。
みんなはまだ、眠っている-。
……
その日、起きると鼻先が冷たかった。
時計を見ると、寝坊のようだ。
あいつも多分、先に家を出ただろう。
俺もさっさと支度して家を開けた。
「うわっ!寒ぃなしかし、、、。(笑)」
ドアを開けた瞬間、つい独り言が溢れた。
あぁ、朝食に食べたスープと部屋でガンガンに効かせていたストーブが愛おしい。
歩きながらそんなことを思っていると、
たまに吹く風が制服を揺らし、その隙間から冷気が潜り込んで来やがる。
「お前今日ちょい遅くね?」
「おう、今日こそは登校時間間に合わないかもな、、、って古河いつからいたんだよ!」
「ついさっき。遅刻寸前で走ってたら-。」
脳筋はいつまで経っても脳筋だなぁ。
古河の家から学校まで常人であれば走っても20分はかかる。距離が長いというよりは単純に坂道が多い。それをコイツは毎朝走って10分で登校しているのだ。つくづく身体能力の高さに驚かされる。
「お前走れる?」
古河はそうとだけ言って、俺の返答を待たずに手を掴んで走り出した。
俺はこけそうなのを耐えて必死に引っ張られた。
「お前っ、ガチ早すぎんだろ。」
どれだけ走ったか。
いつもの登校道とは思えないほど走った。
(ゼーゼー、ハーハー)と息もままならず、教室へ倒れ込むようにゴールインした。
その途端、登校完了のチャイムが鳴った-。
……
学校についてからは、あれだけ走ったのが昨日のことのように時間はあっという間に過ぎて行った。
「あぁ、つまんね。」
授業なんてつまらない。
俺にとって授業というのは、みんなが走らせるペンの音をBGMに黒板の進み具合と自分のノートの空白とのギャップにただ焦る時間だからだ。結局板書は一応するのだけど、それも長く続かないのは俺が1番よく知っている。そんな俺にとって学校へ行く意義というのは友人と会うことだけだ。
恐らく俺はこの世界の主人公じゃない。なら、この世界は誰のための物語なんだろう。
この問いの答えを、迷いなく「それは自分。」と言えるなら相当な自信家なんだろうと羨んでみたり。けれどもそんな人も、やっぱり心の底ではどこか疑問に思っているのではないかと疑ってみたりする。
昔、怖い夢を見た時よく母は俺に「その夢の中ではあなたはなんでもできるのよ。」と言ってくれた。おかげで俺は怖い夢を見ても平気になった。でも現実世界では俺の意思は反映されない。
それなら、この世界はいったい誰の「夢」なんだろうか、、、。
父さん、母さん。いったいどうして急にいなくなってしまったんだ。
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