travessia

ウナーゴン

20060513

 ホーザが死んだ。


 ジョルジはそれを知り合いから伝え聞いて知った。彼女はセルジオと結婚して暮らしていたらしい。


 ジョルジは知人から聞いた住所を宛てに、その家へと向かった。

 あらかじめ連絡しておいたので、玄関でセルジオが彼を出迎えた。

 立ったまま2人は二言三言、会話を交わした。しかしジョルジは上の空で、静かで薄暗い室内にあるテーブルクロスや亜熱帯の植物の大きな葉、黄色いステンドグラスで飾られた玄関の採光窓、明るい庭の立ち木などにその視線を彷徨わせた。


 セルジオが話した内容をジョルジはほとんど聞いていなかったが、「海難事故」という単語だけが頭の中に響いた。


 彼女は海で死んだらしい。


 庭の芝生と木立、その外の埃っぽい小道。あたりには柔らかな昼の光が満ちている。


 小道は彼女が眠る墓地へと続いている。



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