異世界召喚、無能力でも生き抜いてやる 〜クズな俺の革命譚〜
夜空 青月
謎の少女と永遠のリール街
第1話 自分勝手な異世界召喚
「カズってほんとにクズだよな」
もう聞き飽きた。
下校。駅近のカラオケに行ってからの帰り。
三人で横並びになって背中を歩いていると。俺への罵声。こいつらの言いたいことなど手に取るようにわかる。
「また彼女と別れたんだろ? これで何人目だよ」
俺に合わせない彼女が悪い。俺は時間を無駄にしたくない。女は好きだが、俺の機嫌を損ねるなら別だ。
「頭も顔も良くて運動神経も抜群。でも性格がなあ」
俺は自己中だ。十分に知っている。だから何だ。俺は自己中こそが至高だと思っている。自分を大事にできない者は損をする。だから俺はこのスタイルを貫く。何か、間違ったことを言っているか?
*
「じゃあな」
「おう」
いつもの曲がり角。俺は二人と別れ、近くのコンビニで弁当を買う。
「いらっしゃいませ」
いつもの夜勤のお姉さん。綺麗な顔はこんな時間でも崩れることはない。まあ夜しか見たことはないが。
肉と米の安くてコスパのいい弁当。緑茶。
「いつもきてくれますよね!」
「あ、はい」
コンビニのお姉さんは俺のことを覚えてくれていたらしい。この人なら俺と普通に付き合えるかな?
そんなことを考えながら「どうも」俺はコンビニから出て家へまた向かう。
どうせ家に帰っても誰もいない。
俺はいつものように誰も待っていない家のドアノブに手をかけ、引こうとした時、脳内に見たことのない映像が怒涛の勢いで流れ込んできた。
森、川、空、中世の街並み――。
《ダメ!》
最後に声だけが脳内で響き渡り、耐え難い頭痛に襲われる。女性の高い声。
このダメが何を示しているかは感覚でわかった。今手をかけているドアのことだろう。開けてはいけない。そう言われたんだ。
俺の今までの生き方。言う事を聞くはずがなかった。新手の空耳だろうか。
俺はドアを開けた。
目の前にはさっき思い返す記憶のように流れた中世の街並み。
え?
後ろを振り向くとよく映画で見る酒場のような場所でおじさん達が昼間から酒を煽ってどんちゃん騒ぎ。
⋯⋯ここはどこだ。
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