41 ニムロッド【GT-Works CustomⅢ】

 ニムロッド→ニムロッド【GT-Works CustomⅢ】


 ランク3→4.5

 HP/8,800→12,800

 装甲値/900→980

 運動性/120→135

 ジェネレーター出力/1,400→1,450

 冷却器性能/1,600→1,620

 推進器性能/1,250→1,450

 センサー性能/180→220

 プロセッサ性能/140→145

 FCS/遠B 中B 近B→遠B 中B+ 近B+


 頭頂高/16.5m

 基本重量/46.25t→45.8t

 固定武装/25mmCIWS(装弾数600発)

 ハードポイント数/17




「ライオネスちゃんのニムロッドの場合は改修キット1個で『ニムロッド改』、2つ使った時点でお店で売ってるランク4機体『ニムロッド後期生産U2型』と同等の仕様に、さらにマックスの3段階改修でU2型にジャギュアの要素も組み込んだカスタム機になるって具合っスね~!」


 姉が折畳式タブレットで見せてくれた性能対比表やその他の機体の性能諸元表なんかとを見比べてみると、私のニムロッドはどうやらランク4のニムロッド後期生産型とランク5のジャギュアの中間的な性能になる事が分かった。


 私の意思など確認することもなく改修だのという話になったので少しだけ気にしていた、この手の話にありがちな「〇〇の性能は上昇するけど、××は低下する」というような事はなくひとまずは安心だ。


 それどころかサブリナちゃんのパイドパイパーと比べてみると推進器性能はわずかに劣っているものの、重量はニムロッドカスタムⅢの方が4t以上も軽いために推力重量比で比べれば勝っている事になる。

 サブリナちゃんが言うにはパイドパイパーは特殊装備を使えるために機体本体の性能はランク5の中でもドベに近いらしいが、それでも格上の機体に勝てるものがあるというのは強みになりうるだろう。


「まあ、ライオネスちゃんが心配するのも分からないではないっスけど、ゲスイカオの会社が取り扱ってる改修キットは基本的に全体的に少しずつ強化してくれる感じなんでそんな心配する必要はないと思うっスよ~!」

「……基本的に?」


 なおも疑っているような目を向ける妹に対して姉は心配はいらないとばかりに指をふって説明してくれた。

 もう私はそういう仕草は“いい女”がやるものだとツッコむ気にもならない。


「ほれ、ライオネスちゃんの友達が使ってる機体で双月ってあるじゃないっスか? ああいう特殊な機体はさすがに機体特性も変わっちゃうんスけど、基本的にゲスイカオの改修キットは素直に機体性能を上げてくれるっスよ!」


 ニッコニコの満面の笑顔で自分の機転を褒めて欲しそうに見つめてくる姉をどう扱っていいものか判断がつかなかったためにマモル君の意見を聞いてみる事にしよう。

 楽天家の姉と違って心配性のマモル君ならばこそ気付く事があるかもしれない。


「いや~、僕としてもカタログスペックだけ見せられても……、実際に動かしてみないと操縦のフィーリングとか分からないと思いますよ?」

「まぁ、そりゃそうよね……」

「あ、でも、強化の引き継ぎもあるみたいなんで悪いモンじゃないと思いますよ?」


 なるほど。

 マモル君の見せてくれたタブレットによると私のニムロッドはすでに「機体強化」の推進力強化を1段階行っているために改修キット適用後もそれが引き継がれて推進器性能の項目が「1523(5%UP)」となっている。


 サブリナちゃんのパイドパイパーが推進器の値が1,500であるので名実ともに私のニムロッドの方が機動力では上といえる。


 もっとも長所は短所にもなりうるし、その逆も然り。


 パイドパイパーの方が5t近くも重いという事はニムロッドカスタムⅢと正面衝突した場合、当たり負けするのはニムロッドの方なのかもしれない。

 そうなった場合には先に相手に銃を向けられるのはパイドパイパーの方だ。


 まあ私がサブリナちゃんと戦う理由などはないが、他の敵NPCやプレイヤーがパイドパイパーに乗ってくる事だってあるだろうし、あらゆる状況を想定しておく事は大事だろう。


 さて、心配性のマモル君が「悪いモンじゃない」と言ってくれたので私も一安心。


 その他に姉が「ワークスモデル改修キット」について教えてくれた事はいくつか。


 まずトクシカ氏の大型ミッションをクリアして改修キットの要素が解放されたとしても、ショップや通販、あるいは課金などで手に入れられる物ではなく、イベントの報酬や特定のミッションのクリア報酬などでのみ入手が可能なレアアイテムであるという事。


 改修キットは同一の機体に対して最大で3回まで使用できるという事。


 そして改修キット1つにつき機体ランクが0.5上がり、それに応じた機体性能の向上があるという事。


 機体ランクが整数外、「×.5」の場合には一部のシステムにおいては小数点下を切り捨てられた形で計算されるという事。


 これは例えば私のニムロッドはワークスカスタムⅢに改修される事で機体ランクが4.5になるわけだが、ミッションで「参加可能な機体はランク4以下の機体に限る」などの制限が設けられていた場合、機体ランク4.5は小数点以下を切り捨てられてランク4として扱われるために参加できるなど。


 他にもミッション参加機体のランクに応じて出現する敵が変動するミッションの場合、小数点以下が切り捨てられる都合上、有利に戦える場合が出てくるらしい。

 たとえばランク4.5の機体が2機でそのようなミッションに参加した場合、2機の合計ランクは実際は(4.5+4.5)で9であるものの、小数点切り捨てが行われる事で(4+4)で8として扱われる事となる。つまりはランク1つではあるものの実際の合計ランクよりも弱い敵が出てくる事になるわけだ。


 また、姉の口から語られた事ではなく、これは私の想像ではあるが、先ほど姉は「ゲスイカオの会社が取り扱っている改修キット」という口ぶりであったという事は、もしかするとその内、トクシカ氏以外の会社からも特性の違う改修キットがゲーム中に実装されるのかもしれない。

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