般若に論語
みんなは実家に一度帰ったら?と言ったの。でもね.......私がかずぴにシェアホームに残って一緒に過ごそうねって言ったんだわ。私は逃げない.....。
「ねぇ まま すいじょっかん いくでしょ?」
水族館......般若が言ってた水族館。
「うん」
「いつ?いついくの?あしたぁ?」
「うん.......ぱぱにきいてみようね」
般若とは昨日の今日で会話はない。何も結果は出ていないのです。
このままウヤムヤにされるのも困ります。
昼前、兄がやってきました。
「綾。もう実家へいこう」
「......まだ何も変わってない」
「兄ちゃんはもう心配で.....悟にちょっと聞いたよ」
「大丈夫 自分のケツは自分でねっ」
「綾が赤ちゃん時兄ちゃんがケツ拭いたんだぞ!今回も拭かせろ」
お兄様....返す言葉が見つかりませんわ。
「とにかく気をつけろ。極力みんなの目があるとこで話しろよ アイツとは」
重苦しい夜が始まりました。
般若も逃げずに帰宅します。私はなりふり構わずこの日から3階で料理し3階で食事します。
般若が3階に来ました。
「飯は?」
あんな後でも私の飯を食べるとは.....それこそ毒が入ってるやも知れないのに大した肝っ玉です。発作は出ましたけど。
「昨日のあれ、言い過ぎたとは思ってないから」
「ふーん 俺は別れないからな」
「私もうやっていけない......」
「カイだっているんだぞ。お前は自分さえ良ければ....」
「自分なんて、自分のことなんて二の次だったわよ。あなたでしょ....自分ばっかり可愛いのは」
般若はまた頭に血が登りテーブルを乱暴に叩きます。
「うるせーっお前に何がわかる!お前もどーせ俺を見下してんだろ」
もう手の付けようがありません。すぐにこのザマです。打たれ弱く逆上型。
あ、いけないカイが居るんだった
カイはじっと聞いていました。
でも、やっぱり泣き出しました。
「あ゛〜ままがかわいそう ぱぱこわい ぱぱこわい」
私はカイを抱きしめた。
般若は凄い形相、まさに般若で出ていった。声を聞いて、あことかずぴが来ました。「綾..... もう出ていってもらえば?このまま般若には」かずぴが言った。
「すいじょっかん いくぅぅ―― ん でも ぱぱいや」
アコもカイをみて泣きます。
「よしっここの皆で行こう!水族館」
私は元気な声を絞り出して言いました。
+++
般若はこの一週間帰ってこなかった。
私はもう決めていたこの結婚に終止符を打つ。
日曜日、私達は水族館へ。旦那様役ではなくパパ役が2名足りないので、悟さんと兄も参加。
兄が私にへばりつくのでこっそり
「かずぴ!ほらお兄ちゃん かずぴ」
「あっそっか」と気づいた兄はかずぴの元へ。
カイは悟さんの手をつなぎ、次から次へ説明します。
「チンアナゴっていうんだよ。かわいいよね! この砂からおちりは出さないんだって」
「おしり?」
「うん。なんでかな」
他の子たちも楽しくみんな走り回り、
「こら!走らないよ 走らない!」
平和な家族ツアーのよう。家族じゃない人もいるけれど。
思えばカイをどこかへ般若と連れて行ったことなんて無いに等しい。
いつも私とだけか、母と3人で。たまに悟さんは連れて行ってくれたけど。父親との思い出はないだろう。
そう悟さんは、いつも私達親子の近くにいた。カイからすれば一番近くにいた大人の男の人。
夜みんなで3階で食事する。私達はみんなすっかり友達以上家族未満な関係。
子供達が眠り、会議が始まったのでした。
「どうするんだ?綾 お兄ちゃんにどうして欲しい?」
またです。お兄様....
「私は.....別れます」
「そうするしかないね。あれじゃ話にもならないわ。失礼ながらキチガイっキチガイだわ」
あこ.....どうして周りは分かってくれるのに本人には全く通じないのでしょうね.....。
「綾、アイツの家があっさりはい分かりましたとはならないだろな。」
そうです。あちらには般若が何体もいるのですから。きっと今頃作戦会議中でしょう。
「陽介には兄と姉がいるよね。」
「悟も知ってるよな、俺が追い回されたの。あのブッサイクな女に。」
お兄様.....そうでした。般若姉は兄にゾッコンでした。妹の私をイジメ倒しておいて、兄に対しては態度が180度逆でした。兄が結婚して諦めたようでしたが。
これからはどうやら般若討伐どころか般若一家討伐。七条家との戦になりかねません。
「悟さん、これから気にせず思う存分シェアホームに来なよ!」
「はは あこちゃんありがとう。綾と基樹さんが良いって言えばね。」
「俺はいつも早くしろって言ってるだろ」
悟さんと私は3階に残る。
「今日はありがとう。水族館」
「俺が楽しかったよ。ありがとう.....かなりまた言い合ったんでしょ。頑張ったな 綾。でもさ、もう一人はやめろよ。もう綾が傷つけられるのは耐えられない」
綾が傷つけられるのは....悟さんが私を所有してるかのように手を握りながら言った......初めて。大変嬉しく思うのでした。
「うん」
「ぎゅっとしていい?」
どうしてそんな風に聞くのでしょうか。私がそんなに脆く映っているのですか?
「うん」
悟さんは私をぎゅっと抱きしめた。
「抱きしめるだけじゃ失いそうで怖いよ....綾のもっと奥まで入り込みたい」
それは心?体も.....でしょうか。私は脆くなんてない。
今まさに
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