第2話

子どもの頃、家に帰ると誰も居なかった。

両親は共働きで遅くまで帰ってこない。

鍵を開けて、重い扉を開ける。

静まり返った昼下がり。


静けさと、本とゲームだけが友達だった。


携帯電話を持ち始めた頃、友達とやり取りをするのが好きだった。

返事があると、さみしくなかった。

傍にいなくても繋がっていると思うだけで、不安を感じなくて済んだ。


本とゲームと、携帯電話を持っている友達。


それが私の小さな世界のすべてだった。


ねえ、あなたといたいよ。

時間を忘れて傍にいたいよ。

もっともっと深くまで繋がりたいよ。

「歳を取っても、ずっとともだちでいてね」


「いやいや、人間変わるし。ずっとは無理だよ」

目の前が真っ暗になった。

そんなことを言われたかったんじゃないのに。

そんなの、そんなの、あんまりじゃないか。


私の世界を壊さないで。

私の世界を壊さないで。


「わかった、もう、いいよ」


何処にでも好きなところに行きなよ。

あなたが居なくなっても、壊れた箇所を修理して。

なにか別のもので埋め合わせて、どうにかするから。

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