第15話/識別
『
首輪型の防具。
装着者を霊的外因から隠す事が出来る。
装着する事で肉体に掛かる呪いも断ち切る事が出来る。
「………」
凄いな、術具を見るだけでその内容が分かる。
けど、彼女の言った様に、この術具が本物であるかどうか確認しなければならない。
まあ……俺は自分の術具の事、あまり理解してないから意味は無いが……。
取り合えず、俺は眼鏡を装着してみて、改めて周囲にある術具を確認した。
『
片手装備用の防具。
装着者が肉体部位を念じるとその部分に剥離性の甲殻が生成される。
部位の範囲が狭ければ狭い程に生成速度と硬質性が高くなる。
『
三節混の術具。
攻撃から発生する威力を爆発力に変換する。
『
青水晶で作られた瓶型の術具。
蓋を開けると液体が地面を潜行する契式術象を召喚する。
泳げるのは乾いた場所のみで、水辺を泳ぐ事は出来ない。
「へえ」
なんだよ、この術具そんな効果があるのか……。
落陽なんて洒落た名前すらついてる。
……ついでに、俺の腕に付いているこれはどうだ?
そう思って、俺は右手に装着した夢で作られた術具を認識した。
「っ」
『い;うあsh』
なんだこれ、認識できない?
どういう事だ、文字化けしてる……うえ、なんだか、気持ち悪い。
俺は手袋を外して、地面に投げ捨てた。
あれが、俺の夢で出来ていたものなんて、想像したくも無かった。
「どうですか?これで一応、信用してもらえましたか?」
そう言われて俺は深く頷いた。
眼鏡を外して彼女に返すと、俺は首に術具を巻く。
これで、少なからず呪いは消えたと思いたい。
「……では、改めて」
そう言って、十字架の盾を構える修道服の彼女。
「貴方は何者でしょうか?」
そう言った。
「……伏間昼隠居、一応、学生で……地上では、変な事になってたから、逃げて来たんだ。そして、公衆トイレで過ごしてたら……あの女がやって来た」
「あの女とは、門叶祝、の事ですね?」
俺は頷く。
彼女は俺の顔を見ながら、目を瞑って溜息をした。
「では、少なくとも、私の敵ではないと判断します。貴方がどう思っているかは分かりませんが」
「……いや、俺も、あんたは敵じゃない、と。そう思いたいよ」
だって、少なくとも、俺の為にこんな術具を与えてくれるんだ。
そんな人が、悪い奴だとか、門叶祝の仲間であるとは、思いたくはない。
「そうですか、まあ、どちらでも宜しいです」
踵を返してその場から立ち去ろうとする彼女。
「あの、名前」
俺は彼女の名前を聞いた。
振り向きざまに彼女は答えてくれる。
「聖浄。
それが、俺と聖浄さんの出会いだった。
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