最終章 アリスと世界の終わり(1)

「この私は、あなた達二人がここに来ることをすでに知っていました」


 アリスと僕は並んで、椅子に座っている。

 病院跡の中は、案外綺麗で、そして静かだ。

 部屋の中には僕ら三人だけ。

 アリスと僕と――目の前に立っている女性。

 青色の防護服に身を包んだ彼女は、透明なビニルの向こうで微笑んでいる。


「世界を終わらせるあなたが来ることを、この私はすでに知っていました」


 彼女はアリスの顔を指さすように、手をすっと伸ばす。


「ようこそ『オアシス』へ。神の名のもとに、はあなたを歓迎します」

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