アリス・イン・ゾンビーランド ゾンビに撮影許可は必要ですか?
空伏空人/電撃文庫・電撃の新文芸
ゾンビが生者の肉を喰らう! 死と絶望のロードムービー開幕!!
プロローグ
ぼうぼうと、死体が燃えている。
画面いっぱいを覆うオレンジ色の光が、夜を照らしている。
カメラをズームさせる。死体が燃えている様子が映る。
燃えさかる死体が、呻き、蠢いているのがよく見えた。
死体。
蠢く死体。
いわゆるゾンビ。
本来ならば、この世に存在してはならないものが、燃えながらいまだ、もがいている。
逃げようとしているゾンビを、周りを囲う生きている人は、木の棒を使って押し込んでいた。
僕はカメラを、ゾンビ山のてっぺんに向ける。
そのてっぺんには、丸太が差し込まれていて、一人の女の子が、縛られていた。
シスター衣装に身を包んだ、金髪の女の子。
彼女は自分の足下でうめくゾンビと裾を焦がす炎に一瞥することすらせず、ただひたすらに、指を絡めるように、両手を合わせて、祈っている。
それは彼女自身の無事を。なのかもしれないし。
ゾンビを燃やし叫ぶ彼らの安全。なのかもしれない。
神さま、神さま。
といつものように祈っているのだろうか。
その横顔はとても綺麗で、憎しみなんてなにも知らなさそうな表情で。
僕は思わずカメラを覗きこむ。
神さま。神さま。
どうして彼女は、こんなことになってしまったのでしょうか?
どうして僕の好きな女の子が、燃やされないといけないのでしょうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます