第16話
「よし、街を目指してレッツゴー!」
俺は二人に言い聞かせるように、言った。
〈いや、きてよ!!〉
また、頭に声が響いてきた。
「あ、今度は私にも聞こえるわよ」
「これではなしてたんだ~」
今度はアリエルやイリーナにもきこえるようだ。
「まあ、こんなとこ興味ないしさっさと行こうぜ」
「まあ、どっちでもいいしね」
「私はユウトがしたいようにするから」
俺達は踵を返して、ダンジョンから遠ざかろうとする。
〈ちょ、ほんとにいいの!?伝説のダンジョン『覇者の道』だよ!?〉
「知らん、興味ない」
〈ほ、ほら、財宝もあるんだよ?〉
「財宝…………」
俺は一度足を止める。
〈そう、財宝なんか凄い量あるんだからね?一生遊んでも使いきれないくらい〉
「そんなのいくわけないでしょ!伝説っていうくらいなんだからどうせ超危険なんでしょ?」
〈まあ、危険だね。でもハイリスク・ハイリターンだからね。その分いいものがたくさんあるからね〉
「絶対ユウトは行かないよね……ってユウトはどこ行ったの!?」
アリエルがユウトの方に振り返るとすでにユウトとイリーナの姿がなかった。
〈ああ、彼らなら一生遊んでも使いきれないって話を聞いた途端にダンジョンに入っていったぞ?〉
「あぁぁのばかぁー!!」
アリエルは遅れること一分、最強で最悪のダンジョン『覇者の道』に入った。
コアルーム
ダンジョンの核でありすべての運営を為す機関。レベルの高いダンジョンにもなるとコアに意志が宿る。
そんな場所に三つの影が現れた。
〈あははー、強すぎー。まさかこんなに早くコアルームに到達するとはね〉
「おい!そんなことより財宝は!?」
俺は声を荒げて言う。
というか、このダンジョン簡単すぎだな。何が伝説だよ、スライムばっかだったじゃねぇーか。まあ、俺はなんもしてないんだけど。ずっとアリエルとイリーナが魔法ぶっぱなしてたから俺のすることなにもなかったんだけど。それにしてもなあ、弱すぎだろ。
もしかして財宝とかも嘘っぱちなのか!?
〈まあまあ、こういうのはボスを倒してからでしょ?〉
(まさか、世界で二番目に強いダイアモンドスライムが倒されるとはね…)
「えぇーボスって強いんだろ?てか伝説っていうくらいならドラゴンみたいなありふれたやつじゃないよな?」
〈え…………〉
「え?」
うそ、ドラゴン?いやこういうところではなんか変な騎士みたいなやつとか、化け物みたいなのとかじゃねぇーの?
〈……いでよ黒龍!!〉
ダンジョンのコアはこちらを無視して叫んだ
「おい、嘘だろ!」
「うん、本当に」
「そうだね」
〈いや、ごめんて。まさか黒龍がいないなんて思わなくてさ〉
俺達は今、ダンジョンのコアに向かって怒鳴っている。なぜならあんなにいっていた黒龍がいなかったからだ。
しかも
「財宝は!?」
〈いやーその、ね?黒龍を倒したらその鱗だとかそのそういう系を報酬としていたわけよ。だって伝説の龍だぜぇ?高く売れるだろ?……多分〉
「おいおい!じゃあ他の財宝は?」
〈そんなのあるわけないじゃないか。だいたい誰がこんなところに財宝を持ってくるんだよ。こんなところでも盗賊がきて置いていってくれるのか?あん?〉
「いや、それは……」
何故か逆ギレしてきた。
〈それにな、ダンジョンっていうのはな、人が入ってこそなんだよ。いいか?人が入ると、モンスターが倒れる、または人が死ぬ。そうするとダンジョンポイントがたまって、それを使っていいアイテムを作るんだ。だから、簡単なダンジョンとかにはほいほいとちっぽけな宝がでるんだ。でもよ?ここなんかここ100
年誰もきてなかったんだぜ?どうやってダンジョンポイントためるんだよ〉
「今、ダンジョンポイントっていくらあるのよ」
アリエルが聞いた。確かに、100年以上前に誰かが入ってたならまだダンジョンポイントはあるはずだ。
〈うーん、1億ちょいかな。黒龍養うのに結構かかったんだよね〉
へぇー、一億ちょいか、………
「はあ!?一億!?じゃあなんか出せよ!」
〈え?………あ、〉
嘘だろ……気づいてなかったのかよ
〈ごめんごめん、黒龍の餌代としか考えてなかったから。えーっと、ほい〉
急に目の前が光り出す。さすがに直視はできず、腕で目を覆う。
だんだん、光が収まってくると、そこには白く美しく輝いた剣と黒く美しく輝いた剣がクロスさせるようにつき刺さっていた。
俺は近づいて、それを引っこ抜く。持ってみて分かったが、これは凄まじい力を持っている。
「よし、帰るか」
「え?私達のは?」
〈……………〉
あ、こいつ今のですべてのダンジョンポイント使い果たしたな。
「…はぁ、まあいいわ。私は剣持ってるからね」
「私もあるからいいよー!」
〈じゃあ地上まで送るね〉
俺達の下に魔方陣が描かれる。
…………あれ?ダンジョン回ってこれで終わり?
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