第15話

ドドドドドドドドドドドドっ!



ドドドドドドドドドドドドっ!


「…………………」


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド


「………………………」


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!




(いや、打ち過ぎだろっ!?)



アリエルとイリーナはスライム一匹のためだけに怒涛の魔法の連撃を喰らわせている。ちょっと落ち着こうぜ?


「………っち!」

「………」


ふと、攻撃が止む。


ようやく、落ち着いたか。オーバーキルにもほどがあるだろ。


だんだん、土煙が晴れ上がっていく。視界も良好になってきた。


あれ?


「おーい、またスライムがいるぞ?」

「またじゃないのよ!さっきのよ!」


「え?」


さっきの?いや、あんなに魔法喰らわせてたのに倒せてないの?


「全部の攻撃を吸収しているっぽいの!ユウトはどうやって倒したの?」


嘘だろ?あの攻撃全部吸収してたのかよ、エグいな。ってそうじゃなくて、どうやって倒したか………


確か……まとわりついてきて、それから…………あれ?急に消えたんだったっけ?いや、アリエルとイリーナが木の枝でつついてたからそれで倒したか?いや、でも効いてなさそうだったし………


「うん、わからん」


俺は思考を放棄した。


「それじゃあどうしようかな?」


イリーナがステップを踏んで俺のそばにくる。


「ユウト、鑑定して弱点とかわからない?」

「一回してみるか」


俺はスライムに向き合い


「『鑑定』」


デスポイズンスライム lve.123


~~~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~~~


倒せた者はいない。



「うん、倒せた者がいないってことは倒せないな」

「いや、ユウトは前にたおしたでしょ!?」


いや、だからそういわれても分からないものは分からないんだって。


「取り敢えず、逃げよう?アリエルとイリーナに至っては状態異常無効を持ってるかどうかすら怪しいんだから、危険だしな」

「私の心配してくれるの!?嬉しい♡」

「…………そうね」


イリーナは大袈裟に喜び、アリエルはイリーナの言葉を聞いて、少し顔を赤らめ、目を剃らして頷いた。











「あーーぁ、疲れたぁー」


俺はその場に大の字になって寝転ぶ。意外とスライムがしつこくかなりの体力を使ってしまった。


「ユウト、私の膝枕いる?」

「いる」


俺は即答して、寝返りをしながらイリーナの元までいく。


ん?何か光っているものが目にはいった。


「なんだあれ?」

「ん?」


イリーナとアリエルも気づいたようで、首を傾げる。


「ちょっと見てみようぜ」


俺は立ち上がって、光の方へ歩いた。



「…………剣?」


どこか神聖さを感じさせるような所に剣が地面に刺さっていた。


〈汝、我の力を欲っするか〉


急に頭に声が響いてきた。


「欲っしないです」


俺は、少し考えてそう答える。どうせこういうのってなんか使命とか背負わされるんだろ?絶対いらない。


〈えっ!?いらないの!?強くなれるんだよ?〉


「いや、強さとかいらないんたけど。金の方が欲しい。あ、これ売ったらいくらするだろう?こんなところにあるからなんか伝説級とかで高く売れそうだな。よし、欲しいぞ、お前」


〈やるかーー!!売るんだろ!?絶対無理!!〉


えー、ちょうだいよ。


「ねえ、誰と話してるの?」

「うん?聞こえてないのか?」

「うん、」

「そうか、おい、アリエルやイリーナにも聞こえるようにしろ」


〈はあ!?なんで命令されないといけないんだよ。僕は神聖なエクスカリバーなんだよ?君達は頭を下げてお願いするんだよ。まあ取り敢えず土下座だね〉


「………なんか土下座しろっていってるぞ?」

「え?」


というか、めんどくさい剣だな。ん?


イリーナが無言で剣に近づいていく。


「誰が土下座しろって?」


小さく、低く、呟いた瞬間、剣が粉々に砕けた。


〈ぎゃーーーーぁぁ!!〉


「え、おい」

「ちょっと、伝説の剣かもしれないのに」

「こんな程度で壊れる剣なんてゴミだよ。それにユウトに土下座させようとしてる時点でゴミ以下だよ」


イリーナは振り返ってニッコリしながら言った。


その表情は怖いはずなのに何故か俺はその深い瞳に飲み込まれそうな気がした。最近俺はおかしい気がする。アリエルやイリーナの一挙一動に何故か気になってしまう。


ゴゴゴゴ


地面が揺れだす


「地震か?」


〈あーあ、思ってたのとは違うけど、いいよ。〉


「は?」


てっきり消えたと思っていた声がまた聞こえてきた。


〈さあ、ようこそ我がダンジョン。『覇者の道』へ〉



覇者の名にふさわしい厳かな門が現れた。


















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