【改訂版】 異世界転生って!?…まじですか⁉
林奈
第一章
プロローグ
携帯電話の通知ランプが点滅している。
水色の光が、うっすらとまわりを照らしていた。
昨日、夜遅くまでゲームをしていたせいだ。瞼が、重い。
携帯電話に手を伸ばしてそれを手繰り寄せようとするが、充電のコードがどこかに引っかかっているのだろうか、あまり手元に寄せられない。仕方なく寝返りをうって、顔を近づけた。
その光がSNSの新着の通知であることを確認すると、そのまま携帯電話を元の位置に戻して枕に顔を埋める。
フレンドなんて、大していない。
高校時代の友達が、毎日のように自分の子供の写真とか、ペットの写真とか、作ったものなんかを逐一UPしているから…、今回もきっとそれだ。
(はい、はい。幸せアピール、ご苦労様!羨ましくなんかないけどね!決して!)
枕に埋めたまま、もう一度寝てしまおうと試みたものの、まだ寝ていて良い時間のはずなのに少しずつ目が覚めてくる。歳とともに眠れなくなるとは聞いていたけど、私ももう歳ってことだよね、と心の中で独りごちた。
裏返しにした携帯電話から、通知の光が漏れている。
「私を忘れないで。」と、言っているようだなと思う。
―――ギュッと再び目を瞑る。
(ん?)
はっと目を開けてもう一度、携帯電話に手を伸ばし、その画面を確認した。
7:28
(あれ?私、今日何時に起きるんだっけ?)
そういえば、昨日は午前中に市役所に用事があって、アラームの時間を変更…したな。そう、いえ、ば!
ガバっと起き上がり、携帯電話を充電器から外す。
(昨日のガチャ運といい、運が無さすぎる!アラームは自滅だけどさ!)
ばたばたばたと準備をしていく。寝坊は、慣れたものだ。その時の合言葉は「焦りは禁物」。朝食は仕事中に何か軽く摘まめば良い。ササっと着替えて、パパっと化粧なら、まだ遅刻は無いはず。履きなれたヒールに足を入れ、行ってきます!と、ドアを勢いよく開けた。時計を見れば、少し余裕もできたぐらいだ。
よしよし、今日も大丈夫。
アパートの階段を下りながら、さっきの通知が何だったかを確認する。ついでに「ガチャ、撃沈。」って投稿して、朝からフレンドを不幸な気分にしてやろう。
―――と、思ったその時に…「ぽこん」と音がして、メッセージが届く。
「ねえ、あのゲーム覚えてる?」
高校時代の友達からのメッセージだった。
そこまでは、覚えている。
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