ちいさなちいさなものがたり
紫陽花
第1話
これは何処にでもいる平凡な女の子の日記のようなもの。
思えば私は小さな頃からたくさん両親に迷惑をかけてきた。
両親は共働きで兄弟はいない。保育園のお迎えに来てくれるのは父方母方それぞれのおばあちゃん。
もちろんおばあちゃんたちは大好きだった。
それでも私は両親からの愛に飢えていたんだなと今更ながらに思う。
「ママは私のこと好き?」
これが私の口癖だった。母親は父親より帰りが遅いことも多く、よく母親の洋服を抱きしめて寝ていたのを覚えている。
(ママまだ帰ってこないな、オオカミに食べられちゃったりしてないよね?大丈夫かな?)
なんて。可愛いことを思いながら父親の隣で眠りについていた。
これだけだと母親が好きな可愛い子だが、実際は保育園の頃からずっと思い出したくないような記憶の連続だ。
保育園では劇の主役をやりたがったと思えば気に入らないことがあればすぐに泣き、気に食わないことがあればすぐに噛み付いていた。
その度に祖母に、母親に謝らせていたと思うと本当に申し訳なかったなあ。
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