第33話 32-今後の話し

翌朝、朝食を済ませて、これからの話をする為に集まることになった。環が話を進める。




「葵さん、これからの事となりますが、騎士は続けるという事でよろしいですね?」


「ええ、問題ありませんよ、自分でも続けるつもりでいるので」


「では、見習いは終了とします。団長がお戻りになったら、正式な辞令となりますが、団長代理として命じます。理由を言うまでもありませんね。デイト様の加護得て、騎士団の中でも白檀団長と同等の力を得ています。剣技を磨いてその地位になってもらいます。」


「わかりました。それも問題ないです。所属の隊とかも決まるんですか?」


「いえ、所属はまだ本決定ではありませんが、マニーちゃんの皇女近衛隊とします。しかし、団長が戻り次第、隊編成を進言し、新しい隊を編成します。」


「新しい隊ですか?」




葵が尋ねると環が再編する隊が必要な理由を話す。




「ええ、昨晩、デイト様とあざみさんにも相談させていただいて、今後の葵さんが何をするのが良いか考えて見ました。デイト様の過去の記憶を元に行動することが、一番良いと決断しました。それが、この世界を救い、葵さん達転移者の方を救う答えになると考えます。」




デイトが環に代わり何をするかを話す。




「神無月さんが転移した理由までは、わたしのデータにはありません。しかし、女神が転移者に依頼があることは事実です。その為には、神無月さんが力を得る事、神無月さんと共に行動する協力者が力を得る事が必要です。眷属神と会い力を得ましょう。その為の旅に出ます。」




環が編成する隊の説明する。




「ですので、各隊から選抜するので、編成が必要となります。マニーちゃんとクーちゃんは、各隊の隊長を解任し、新設の隊に加わり、今まで通り葵さんのサポートをお願いいたします。そして、白檀団長とわたしも加わります。便宜的に隊としていますが、騎士団から独立したパーティーを作ることが目的です。」




葵が団長の白檀と皇女の環が同行すると聞き国と騎士団は大丈夫なのかと少し驚く




「団長や環さんが国を離れて大丈夫なんですか?」


「その辺は問題ありませんよ、騎士団は今も実務を副団長がされているし、政治の主体は元老院ですから、わたしは、旅の報告を女神にすれば大丈夫です。そして、デイト様も同行されます。」


「デイト様も?」


「毎日、呼ばれるよりも、同行した方が効率が良いですので、あざみさんにわたしの本体を守っていただいて、わたしは同行します。この好機を逃すわけにはいかないのです。」




デイトが話し終わると環が補足する。




「とは言っても、内政の調整もあるので、出発は3週間後の予定です。それまでは準備期間としてください。もちろん、剣技の稽古もお忘れなく。それと、葵さんが良ければ、こちらにいらっしゃる日本人の方とも交流を持たれてはいかがですか?」




マノーリアが環の提案に、賛同して葵に交流の意思を確認する。葵が答える。




「ひとりは昨日あった、菅原さんだよね?後のふたりは?」


「後のふたりは、山田萌さん、山田さんは半年程前に保護されて、4ヶ月ほど前から商業組合で働き始めているわ、長月信治さん、彼はまだ施設にいるわ、葵くんの1ヶ月前に保護されているわ、まだ混乱しているようで、会話が成立しなくて…」


「ああ~例の彼か…」




葵は転移した日に梔子とそんな話をした気がすると思い出す。環が葵に依頼する。




「信治さんは、わたしたちでは、理解できないことを話されるので、葵さんが話をしたら好転するかしら?」


「前に、彼の事は少し聞いたので、なんとなくわかりますが、転移したのが原因ではない気がするので、話してみないとわからないですね。正直、本人次第な気もします。」




葵は肩をすくめながら苦笑いし環に伝える。転移した日本人とは会っておいて損はないので、全員と会うことにする。環の側使えの柊が、各日本人の今日の予定を確認して、午後に会うことになった。ある程度今後の大まかな流れが話し終えるとマノーリアが環に提案をする。




「環さん、葵くんに支獣を授けるのは難しいですか?」


「どうでしょう、日本人の方に授けた事はないですからね…デイト様どうでしょうか?」


「神無月さんは如月さんの魔力を体内に取り込めているので、作成は可能だと思います。」


「葵くんも支獣がいれば戦い方の幅も広がるし良いわよね?」


「そうだね、作らない理由はないよね?」


「では、さっそくに本殿に参りましょう」




大社の本殿へ移動して、支獣を作る準備をする。あざみとデイトも環の手伝をして準備を終わらせる。




「支獣を作成できる皇女も何代ぶりでしょうかね」


「環さんの代行者としての資質の高さのひとつですね。」


「では、葵さんはこちらへ」




環に案内され、葵は魔方陣のような紋様が床に刻まれた場所に立つ、葵はどんな支獣が生まれるか楽しみにしている、せっかく異世界なら幻獣的なやつが良いかな?とか思いグリフォンやドラゴンをイメージする。環の説明によると本人のイメージは関係なく、影響するとすれば本人の潜在意識が影響する。環が葵の髪の毛を少しだけ切って正面の鏡の前の祭壇へ奉納する。環は、その鏡の前で祝詞のりとや呪文とも言えない何かを口ずさみ、儀式を始める。すると葵の回りが淡く紫色に光だし、一度目が眩むほどの閃光となり光がおさまる。葵は支獣が生まれたことを感じる。




「終わりましたよ、あなたの支獣です。少し変わった子になりましたね…」


「葵の支獣かわいいけど…ホントに変わってるね」


「葵くんの世界にはこの子みたいな生き物がいるの?」


「見た目はいるけど…羽はないぞ!」






葵の回りをパタパタと飛び回る




「見た目かわいいが、戦えるのか?」


「ワン!」


「鳴き声犬だな…」




葵の支獣が生まれ、新たな仲間を加わった。

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