第9話 合図

 細河ほそがわ軍と我が衛鬼兵団が既に軍事協定を結んでいるなら安心だ。


 俺たちは、細河ほそがわ様に、深々ふかぶかと頭を下げ、初対面の挨拶を交わした。


 細河ほそがわ様は、名前通りのほっそりとした、感じの良さそうな青年だった。周りの家臣の方々も、優しい笑顔をこちらに向けている。


 その時、背中に旗を立てた兵士が飛び込んで来た。


物見ものみよりの知らせです!  岩熊いわぐま軍およそ二千、川を越しました!」


「来たか…。」細河ほそがわ様の横にいた、ご家老の顔から笑みが消え、細河ほそがわ様も、兜の緒を締めた。


 緊張感が陣内を包み込んだ。いよいよ戦闘開始だ。


 あのぉ、こんな時に何なんですが…


 ……俺……作戦を聞き逃してたんですが、大丈夫ですかね…?


 ↑こんな事を、ユイに聴いてみよう……と思った瞬間、ご家老が右手を上げた。


 それを合図に兵士達が


 俺たちに襲いかかった!?

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