第18話 連鎖

 ……俺はすさまじい圧に耐えながら言った。


「答えは『』です」


 作戦参謀が進み出て「何をバカな事を! 死んでしまうではないか!」と言った。他の参謀たちも、そのげんに同意しているようだ。


 巨大な参謀たちが詰め寄ってくる風圧に耐えながら俺は続けた。


「皆さんは、こうお考えでしょう。『致死性ウィルスに感染した敵』を『閉じこめたり、殺害した』ために『感染した味方』を、同時に抹殺してしまえば、それで解決する……と」


 全員がうなずく。やっぱり……ちょっと可愛い♡


「ところが、その『感染した味方』を抹殺した者は、『致死性ウィルス』に感染してしまい、感染はさらに拡がります。さあ、どうしますか?」


 作戦参謀が「当然、ウィルスに感染した者共ものどもを皆殺しにすれば、それで終わり……あっ!」


「お気づきですね。感染者を閉じ込めたり、殺害する度に感染が拡大し、やがて……」


 そう言って、俺は、うながすように、作戦参謀を見上げた。


 作戦参謀は、悔しげに


「自分らは……絶滅する」……と小声で答えた。


「そうです。この問題は、『自分だけが生き残れば良い』と考えている限り、戦闘継続不可能……兵団は連鎖的に絶滅します」


 更に、俺は続けた。


「他者を救う為に自分が『犠牲』になる。 皆さんには思いもよらない事でしょう」


 情報参謀を向き「先程さきほど貴方あなたが言っていた『強大マイティ要因ファクター』……それが、この問題を解く重要な鍵になります」


 ……と言うと、情報参謀は大きく身を乗り出した。


「『自分より大切な人々を守る為に、一番大事な自分の命をも投げ出すことが出来る心』……それこそが、我々人類が持ち、貴方方あなたがたに無い、強大マイティ要因ファクター『愛』の力です!」


 俺は作戦参謀に向って「人類が、俺のせいで滅亡してしまうような事になるなら、俺は『恋人』など要りません」と言い、席に戻った。



 しばしの沈黙ののち、情報参謀が手? を叩きながら……


 「素晴らしイ。 わたくし達には想像もつかなカッタ!!」……と言ってくれた。他の参謀たちも、徐々に賛同し始め、ついには、スタンディングオベーションのようになっていた。


 ……今までの人生で、こんなに褒められた事など無い。


 ……褒めてくれたのが人類では無いのが、やや不服ではあるが。


 先程『愚問だ』と言った作戦参謀や、俺をなじった参謀が近付き、平伏して謝罪し、改めて俺に忠誠を尽くす事を誓ってくれた。 


 ……何やら照れ臭い。



 ユイは、黙って俺たちのやり取りを聴いていたが、満足げに……

 

「貴様を総司令に任命した、あたしの目は間違っていなかったであろう」


 と言ったが……


 ……あれ? 偶然……って言って無かったっけ?

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