第...話 設問

「総司令閣下」


 ……さ、参謀長! 近いんだから、大声めて! 鼓膜が破れるっ!!


「これから皆さんに、ひとつの設問を提示します。『模擬戦闘シミュレーション』してみて下さい」


 ……壁面がリセットされ、情報参謀が何か準備を始めた。


「敵一名が『致死性』の『自分を閉じ込めたり殺害した相手に感染し、抹殺する』ウィルスを飲んで潜入しました。どうしたら良いでしょう?」



 ……参謀たちの表情は全く読めないが、明らかに俺を小馬鹿にしているのは伝わった。    


 作戦参謀にいたっては、「愚問である」と、はっきり口にした。 いっそ清々すがすがしい。


 参謀の一人が憎々しげに……


総司令閣下……いくら閣下がいくさの素人だとしても、この設問は稚拙ちせつぎる! 我が衛鬼兵団を愚弄ぐろうなさるおつもりか?」と、俺を睨み付けたが、俺は無言で微笑みを返しただけだった。 ……心の中で『後で吠え面をかくなよ』……と舌を出しながら……。


 初めは恐ろしかった衛鬼兵団だが『愛』が理解出来ない……というが判明した以上、いくらでも攻略法はある。


『愛』とは『覚悟』

『愛』とは『利他』の極致……


 ……すなわち『愛』という名の『大義』を持たない衛鬼兵こいつらは『張子の虎』ならぬ『張子の』……ただの見掛け倒しだ。


  それを証明するのが、俺が考えた『設問』……なんだ!


 さて、そろそろ運命の結果発表だ。


 おにと出るか……いや、衛鬼と出るか蛇と出るか……

  

 

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