第9話『Z』

 衛鬼兵団前哨基地に到着すると、懐かしい面々が俺たちを迎えてくれた……ユイ以外は……。


「参謀長、今次戦の大綱は定まりましたか?」


「はっ。 つつがなく……」……う〜〜ん、低音の魅力、健在!


「では早速、軍議を凝らしましょう」


「御意」




 ……『ゴォォォ〜〜〜〜ン』……と、お腹に響く音が鳴り響き、俺は軍服で玉座についた。 ……横には、いつもユイが座っていた玉座が空席のまま出現した。


「これより、軍議を凝らす!」……参謀長の声と共に、中央に席が出現し、そこには……


 ……透娘とうこ……皇雅おうが 透娘ちゃんが、元バウンティ・アーミー5人組……改め『衛鬼兵団新設部隊:アセンブル・ファイブ』と共に着座していた。


 ……彼女が姿を現したと同時に、衛鬼兵団の参謀たちが最敬礼した。


「『皇雅』様におかれましては、ご健勝の由にて……我ら一同、恐悦至極に存じ上げまする……」……と参謀長が、やや控え目な声で言った。


 ……この透娘ちゃんは、実は衛鬼兵団を創設した『皇帝』が……なんだかんだあってこの姿になったもの……らしい。


 ……ユイは、それを知ってか知らずか、衛鬼兵団が放逐された時の恐怖がフラッシュ・バックしてしまったらしく、いまだに現場復帰できずにいる。


 この後、作戦参謀から大綱が示されたのだが……彼の口から、信じられない言葉が発せられた……。


「……衛鬼兵団の興廃、この一戦にあり!」

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