第16話 集計

 ユイが銃のメンテナンスを中断し、俺の横に来た。


「この前、長瀬大佐から話を聞いた。 ……そろそろ、鷹音ようおんとの最終決戦が近い…そうだな。」


『最終決戦』! 


 ……そうか ……『高嶺の花』だった、あの鷹音ようおんさんとの『決戦』 …俺の片想いの『決着』が迫ってるんだな。


 ……で? ……だ。


「これは……?」


 ユイが、ホタルを眺めながら……


「兄らは、興味がある物を意図せずに眼で追うらしいではないか。 鷹音ようおんの視点を集計すれば、何を好いておるか判明するであろう!」


 ……!


 そうか! 俺が知らない鷹音ようおんさんの『望み』を調べられる……のか!


 ……こいつ『情報参謀からのプレゼント』なんて言って、自分がやらせたんじゃないか。


『照れ隠し』…なのかな?


「……恥ずかしい話だが、我が衛鬼兵団えいきへいだんは、兄の『攻略作戦』に、実益を与えていない……気がしてな……。」


 ユイ……。


「それは、間違いだ。 俺は充分過ぎる程、お前たちに力を貰っている。 お前たちに会っていなかったら、今でも鷹音ようおんさんの動画を眺める事しか出来なかったよ!」


 ……ユイは、しばらく俺の目を見ていたが、恥ずかしそうに目を逸らしてから


「さあ、情報将校に、集計結果を問うてみよ!」


 と言った。

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