第6話 過剰殺戮《オーバーキル》

 ……頭にクエスチョンマークが浮かんでいる俺に構う素振りもなく、作戦参謀の講義は続く。


「さて、ここで『戦闘画面』を『模擬戦闘シミュレートモード』に切り替える。ご覧頂こう。」


 画面が先程の、……なんちゃら? のえき? 当時に戻った。『痩せ』……もとい『八瀬やせ』の国、やっぱほっせぇ~っ!


「『細河ほそがわ』軍の戦闘パラメータに、我が軍のを加えたものが、こちらだ。」


 うわっ、画面が真っ黄色に!!


 作戦参謀は慌てる素振りもなく「我が軍の最小因数でさえ、過大殺戮オーバーキルしてしまう。 よって更にパラメータを下げる。『手加減する』という意味だ。」


 黄色の部分が収束し、青・黄・赤が、ほぼ同じ面積になった。


 ……俺は、ボ~ッと、信号機を思い出していた。



「これに、現在の地図を重ねると……」


 見慣れた日本地図が表示され、クローズアップされる。


 先程の『信号機』とピッタリと重なった画面をよく見ると……。


 ……!


 俺の母校と、鷹音ようおんさんの母校が、黄色をバックに、ピッタリと収まっているではないか!!


「これにより、目標ターゲット二名の初等学校が同学区になり、接点を構築できる。 以上」


 すげー! 本当に、いとも簡単に『接点』が出来た!


 ユイ……そして、作戦参謀……この恩は、一生忘れまいぞ。


 ありがとう。


 本当に、ありがとう…。



 ……んなわけぇだろ!


 武田信玄の時代の話だぜ!


 まさか『タイムマシ~ン~』って言いながら、ポケットから何か出す気か?


 ちょっと期待してしまった分、落ち込みが大きい。


 目の前が真っ暗になり、脳は真っ白になった……。



「総司令閣下」


「……」


「総・司・令・閣・下!」


 ……。 やべっ、気を失ってた。 ……総司令って…… あっ! 俺だ!

 


 参謀長の「……以上で御座います」と声が響き、参謀たちが頭を下げている。


「え? ……は、はい!」 ……と、いつもの調子で生返事をすると……


「これにて、軍議を終える。 各自、戦闘配置に着け」


 

 ごめん、俺、聞いて無かった!


 と言う間も無く、議事堂の壁が消え、広大な司令室の様な空間に、見たこともない装置が続々と出現し、『衛鬼兵えいきへい』達がその前に座って、触手やら沢山ある腕を器用に動かして、何やら操作している。


「さあ、行くぞ」とユイが強引に、俺の手を引く。


「行く………って? どこへ??」 


 ユイがことげに言った。


八瀬やせ

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