第15話『マイティ・ファクター』

 衛鬼兵こいつらの世界には『愛』が存在しない。


 だからこそ、こいつらは冷酷で非情な戦争を繰り返して『エネミーすべてを、根刮ねこそぎ葬り去り『勝利』を宣言していたんだ。


 ……そう思ったら、図体ばかり大きい衛鬼兵こいつらが、ちっぽけに見えて来た。


 ……いや、それは言い過ぎか(笑)



「情報参謀!」


 ……ユイの怒りの矛先ほこさきが、ひょろなが参謀に向いた!


「ハッ!」


何故なにゆえ、我らの作戦が此奴こやつらの世界で通用せんのか、考察せい」


「はい……実はワタクシも、それが疑問なのデス。 ご提示された条件にて『模擬戦闘シミュレーション』を行ったところ、『戦闘継続不能エラー』になってしまうのデス。 ……恐らく、この世界にある、我々が知り得ない『強大マイティ要因ファクター』が作用しているものと思われまス」


 お〜! さすがは参謀! 『愛』は理解できなくとも、おぼろげながら、その存在に気付いているようだ。


 この時……俺は、ふと思った。


 俺がユイと出会い、何故か衛鬼兵団こいつらの総司令に任命されてしまったのは、こいつらに『愛』をく為なんじゃないか? ……と。



 そもそも『愛』とは何か!?


『愛』とは『覚悟』


 愛を守る為なら、命を捧げる事さえもいとわない覚悟……『利他』の極致だと思う。


 そうだ! これだっ!


 俺は『愛』が答えとなる『設問』を思い付いた。 いちばちか、試してみる価値はあるかも!


「……あのぉ〜」


 ……俺は発言の為に挙手した。

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