(11)精霊泥棒


夜が明け、クロノが署に出勤すると署内は大騒ぎであった。


「クロノ!来たか!」

マイル上官が声をかけてくる。


「おはようッスね、たいへンですよ!」

栗色の髪をした部下、ブランも慌てた様子であった。


「マイル上官、これはどうしたのですか?」

クロノは落ち着いた様子で聞き返した。


「ああ・・・」

マイル上官は神妙な顔で黙り込んだ。


「精霊の密売だ」


精霊達それは、このアンダーワールドに生きている生き物たちの中でも、世界の始まりからいると言われる存在だ。殆どの生き物たちは時間の流れの中で進化を遂げてきたが、精霊は世界の始まりの頃のままの姿をしているという。

天敵となる生き物がいなかったのであろう。

しかしながら、その数は少なく絶滅危惧種とされている。


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