第60話 後の祭り
フランスのパリに女性を追って行ったことがある。女性は、オリビアというアメリカ人で神戸にある英会話学校の私の先生だった。私は、オリビアに学校の先生たちが開いた私的なパーティーに特別に呼ばれて、親密になった。彼女は、春からパリに行って英語を教える予定だと言った。パーティーで私たちは、酔っ払い、彼女のマンションで関係を持った。
私は、大学の同じクラスの女子生徒、葉子に私がボンボンなので嫌われていた。彼女は、オリビアと同じ駅の近くのマンションに住んでいた。一度、その陽子に誘われて、彼女のマンションで料理をご馳走になった。彼女が、私を普通の男として認めてくれるようになったのかと思い嬉しかった。問題は、そのあとである。私が葉子の家を出るところをオリビアに見つかってしまった。陽子は、オリビアが何時ごろに帰宅するか事前に調べていたようだ。
彼女は、私が浮気したものと思い、関係にひびが入ってしまった。私は、料理を食べただけだと言っても、聞く耳を持たない。しかし、私はオリビアの事が大好きだったこともあり、何とか関係を修復しようとジュエリーなどをプレゼントしたりしていたのだが、受け取ってくれてもまったく、効果はなかった。実は、オリビアはちょうど前夫と離婚が成立したばかりで男性不信になっていたようだ。
春になり、彼女はフランスに飛び立ったが、私は彼女のことが忘れられず、会社の夏休みに彼女に会いに行った。しかし、彼女の態度は冷たく、私はパリの観光地を一人で歩き、郊外の山を登った。一人で道を上りながら、私は孤独に打ちひしがれていた。私は、バカな事をしたと思ったが、後の祭りであった。
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