第32話インフォメーションセンター

僕たちはエイオンの街に戻ってきた。






マイさんは身体を洗う為先に宿に戻り、僕は松風と一緒に冒険者ギルドにきた。

松風に待っていてもらい、僕は受付カウンターに並んだ。

セルフに並ぶとポイントでしか報酬が貰えない為、今回は利用出来ない。

早く帰ってきたのでまだギルド内は人が少ない。

直ぐに僕の順番がきた。


「お疲れ様でした。お預かりします。」

いつもと違う人が担当してくれる。

ミロさんの妹のミルさんだ。


「お願いします。」

僕はミルさんに今日の成果を渡した。


「オオカミが二十二体で金貨四枚銀貨四枚になりますね。お確かめ下さい。」


「はい、ありがとうございます。」

熊の魔獣は僕が頭を潰した為、持って帰る事が出来なかった。

変異種は駆除すると特別ボーナスが出る。


大型獣の変異種は金貨二十枚、中型獣は金貨十枚、小型獣は金貨二枚が加算される。

緊急時だった為しょうがないのだが、金貨二十枚を損したのは勿体ない。

次また同じことがあったら別の部位を狙おう。


Vを狙え!!


僕はギルドを後にし、宿に戻った。一度松風を預けて大衆浴場に行く。

最近は部屋に居るより風呂が一番落ち着く。

ここの風呂には何故か富士山の絵が描いてあり、日本の銭湯と瓜二つだ。


「ふぃー。」


「なんだ、ネズミの兄ちゃん、今日は随分疲れてるみたいだな!」

お湯に浸かっていると声をかけられた。


「あ、マルフォイさん、お疲れ様です。」


「お疲れサマンサタバサ」

何処かで聞いたことのある挨拶を返された。


どう答えれば良いのかわからない。


「お前、最近ピンクレディーと組んだらしいじゃないか。」

ピンクレディーとはハーマイオニー、つまりマイさんの二つ名である。

ーーマルフォイさんとはこの大衆浴場で知りあった。

マルフォイさんは冒険者ではないが、二つ名持ちの冒険者に詳しい。

というよりこの人が二つ名を付けているのではないかと僕は思っている。

おそらく自分も二つ名を付けて欲しいのだろう。


「詳しいですね、情報屋さん。」


「おい……お前、今なんて言った?」


「詳しいですね、情報屋インフォメーションセンターさんと言いました。」

マルフォイさんは顎に手をあて考え事をしている。


「お前なかなか良い二つ名を考えるじゃないか!」

そう言うとマルフォイさんは肩を組んできた。

裸なので、正直やめて欲しい。


「そんなお前に、一つ教えてやろう。」


「え? 何ですか?」


「ピンクレディーが獣人だっていうのは知ってるよな?」


「はい。知ってますよ。」

マイさんは豹の獣人だ。

もし僕がマイさんに二つ名を付けるなら、ピンクパンサーと付けただろう。


「獣人はな、一夫多妻だ。」


「そうなんですね。」

正直どうでもいい情報だった。


「しかも、普段は性に関心がないが、一度発情するとそりゃあもう凄いらしいぜ?」


マイさんが発情した様を想像した。

うむ、確かにスイッチが入れば凄そうだ。

何度想像しても、マイさんが騎乗位で腰を振っている姿しか想像出来ない。

ヤバい、想像したら息子が起きてしまった。


「お前チンコでかくなってるぞ!」

マルフォイさんが僕の息子を見て笑った。

しかし、僕は最近抜いていない。

もう勃起を止めることは出来ない。

息子がどんどん大きくなっていく。


ーー笑っていたマルフォイさんの顔がだんだんひきつってきた。


「ちょっとまて、お前でか過ぎないか?」


「そうですかね?」

僕は息子に大やけどを負ってから、大きさが倍くらいになってしまった。しかもどす黒くなり、禍々しさを増して剥けチンへと成長した。


「ああ、それに亀頭の模様には見覚えがあるぞ……」

ドラゴンの紋章の事か。

火傷が治ってからも、この痕だけは残ったままだ。


「お前、それはドラゴンの紋章じゃないか?」


「それ、前に同じこと言われました。」

ドラゴンの紋章って、結構有名なのかな?


「世が乱れる時、必ずドラゴンの騎士が現れる……」


あっ! ヤバい、また長い説明が入る!


「その紋章を持つものは、歴史の変換期に必ずと言っていいほど登場してきた。」


「ごめんなさい! のぼせそうなので、もう上がりますね!!」

僕はそう言ってそそくさと浴場から出た。

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