黒い太陽 ~Black my son~ 暗黒竜騎士ダイ マツモトの奇天烈オゲレツ冒険譚

ムキムキ!ぱいぱんマン!!

ダイの朝だち、友だち、そして旅だち

第1話松本大の大冒険は始まらない

「大ちゃん一緒に帰ろうぜ!」




放課後帰宅しようと廊下に出たところ友達の渡邉に後ろから声をかけられた。




ちなみに大ちゃんとは僕の事だ。




松本 大 15歳 中学三年生 童貞




彼女募集中です!!




「いいよ! 一緒に帰ろう。」




「あ、途中TATUYAよっていい? 今日こそAVコーナー入れる気がするんだよね。」




「お前、前もそう言って30分も僕の隣で筋トレ雑誌読んでたじゃん。たいして興味も無いくせにさ」




先週の事である。彼は同じようにAVコーナーに入ろうとした。


しかし、中に人の気配があり様子を伺っていたところ、クラスの女子が参考書を見ている事に気付いた。


仕方なく僕の隣で雑誌を読み、あろうことか早く帰ろうと急かしてきた。




ちなみに僕は夏ボディーを作るために筋トレを始めた。




おそらく誰かに見せる事も無いし、間に合いそうにも無い。


中学最後の夏休みに向けて先月初めから始めたが、今はもう7月6日である。




あ、明日七夕じゃん。






「今日はもうスっと入ってパっと出てくるからさ! 間違って入ったみたいな感じで。」




「もう携帯で見ろよ、どうせ借りないんだし」




「ただみたい訳じゃないんだよ、あの空間に入ったという興奮を味わいたいんだよ!」




「いや…意味わからん…くもないけど」




実は僕もむっつり助平である。


普段下ネタを言わない僕は、渡邉にだけは何故かこういう話が出来る。




むっつりシンパシーってやつだ。




「じゃあ、ちょっとだけならいいよ。先っちょだけね。」




「よし! じゃあ行こう! 一緒にイこう!」




そんな気持ち悪い会話をし、今日も失敗し店を出てさよならをした。




















その夜、日課の腕立てを30回し、風呂に入った後なのに汗をかいたまま眠りについた。


























ーー妙な夢を見た。


何もない荒野で僕は仰向けで薄暗い空を見上げていた。




周りを見ると沢山の人が一列で並んでいた。




知らない人達だが、皆何処で会った気もする。




先頭には僕と同じ年くらいの女の子がいて、手にはナイフを逆手に握っている。




その子は僕に近づき、握ったナイフを一気に、あらんかぎりの力を入れて、僕の胸に突き刺した。


「ザクッ」


僕は死んだ。




女の子はナイフを抜くと、後ろに並んでいた男性にナイフを渡した。




その男性もまた、僕の胸にナイフを突き刺した。




僕は死んでいる。




それは今も永遠と繰り返されている。




死んだ僕はただ自分の胸にナイフが突き刺さるのを見ている。




何の感情も浮かばない。




ただ、この行為が当たり前の事と、僕も受け入れている。




まだまだたくさんの人が並んでいる。




ああ、いつまでこれは続くのだろうか。




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