鉄の路

天野ひかり

プロローグ

俺はなんだ?いつも思う。走る汽車の中、物心ついた時から、自分は何か他と違うことはわかっていた。


でもその感じることや感情がなんなのか、雲をつかむようだったし表現のしようがなかった。

そんな当時の自分が、今の俺を想像できただろうか。

いや、できなかった。なぜか。自分がほとんど見えていないからだ。


ではどうして、今の自分が自分でいるのか。こんなにも自分と向き合えているのか。

ならば今の自分は、周りのことや自分のことを見ることができているのだろうか。

・・・とてもじゃないができていない。


人は失敗をする。そして修正をする。そうやって経験を積んでいくわけだ。

しかし俺はどうかというと、失敗を繰り返してばかりだ。


どうして、気づかなかったんだろう。そういえばヒントはそろっていた。ではなぜ、見過ごしたのだろう。なぜ、自分を信じすぎたのだろう。

そんなことが、いくつもあった。


そのようなことを思っていると、いつのまにやら帳が降りていたようだ。

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