第125話 契約失敗
「く・・・暗い・・・ここは・・・どこだ?」
[クックック、愚か者め!あれしきの毒なんかを吸収しやがって、それでも聖なる光の支配者か!?]
「ん?誰だ?何処だ?光の支配者?」
どこからともなく声が聞こえた。その声の聞こえた方角が徐々に明るくなる。
やがて周りが明るくなる。いや。明るいを通り越して眩しいくらいだ。
眩しさに慣れた時、健太の目に映って見えたのは・・・
「お、お前は・・・もしかして噂の一つ眼幻獣!」
実際に健太はボ=ギールを倒した事は覚えていない、しかしシエルの言っていた一つ眼幻獣の事や、直感的な勘でそう思ったのだ。
[我が名はオーディール!長い眠りを目覚めさせたお前の名を聞かせよ!?]
(何だコイツは?なんか・・・台風の中心に眼があるみたいだ!やはりシエルのじじいが言っていた一つ眼幻獣なのは間違いなさそうだ。)
「俺は、木下健太だ!」
[木下健太だな?よーし、ではこれより契約交渉へと進める]
健太はシエルの言葉を思い出す。
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「健太よ、安心せい。幸い幻獣機嫌は良かった様での、バドームのボ=ギールのみ葬っただけと聞く。しかしあの魔法はお主にはまだ早い!召喚獣魔法は幻獣との契約が必要なのじゃ」
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(契約交渉?やはりか!じじいの言っていた伝説って本当の事だったのか!!)
「な、なぁ、ちょっと待ってくれ!契約してしまったら、俺はどうなるんだ?」
[お前は光の支配者、私を呼び出す程の力があると知り、自分を誇りに思うが良い!]
健太は全く光の幻獣オーディールの言っている事は理解できなかった。契約というのは一体なんなのであろうか・・・
(何なんだ、この一つ目は!得体の知らない奴と契約?意味わかんねーよ!)
[それは奇遇だな、私もお前みたいな得体の知れない奴と契約したくないわ!!]
(こいつ・・・心の声もわかるのか・・・)
[我々は主に召喚されて命令される。本来ならお前と契約するが、お前の目は謎めいた得体の知れない迷いの目をしている。そんな奴と契約は本来なら出来ない。]
「じゃあ何しに現れた?」
[オバカ!一度お前に召喚されたんだから、私の主はお前だ、しかし私はお前と契約しないだけだ。
今はな・・・]
「今はってことはいつか契約しないとダメなのか?」
[・・・質問ばかりで疲れる主の様だな、とにかく今は早く毒の治療し、早く元気になる事だ!契約に躊躇する今のお前とは契約はしない!さらばだ!!」
「お、おい!待てオーディール!!次はいつ現れるんだ?」
[お前が強くなった時・・・]
途中で話が途絶え、再び目の前が真っ暗になる。
「究極召喚か・・・」
とはいえオーディールと契約したとして、何をすれば良い?単に国民に恐怖を与えるだけ・・・だよな?やっぱり契約って・・・ん?
健太ふと思った。自分の身体が軽くなっている。
「ハッ!!」
健太はどうやら目が覚めたようだ。仰向けに寝ているが、真上でメルーが飛んでいる。何やら身体全体に液体をかけ、治癒魔法をしてくれているのだろうか?
「健太!気がついた?」
「・・・ああ、メルー、すまない・・・」
「もう少し横になってなさい!あたしは急いでハイム様を探さなくちゃ!!」
パタタタタタタタタタ
「え?おい!?」
健太は呼びかけたが、メルーはそのままハイムを探しに行く。
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