第48話 はっきりしない王
「い・・・今何て言った?バッド隊長が国王?ラマの王様はラマ王って聞いた事があるぜ?」
健太は確認の為再度質問する。
バッドの応えは・・・
「ラマ国とピカトーレン国は元々一つの国だった頃、種族差別が深刻化してゆく中、私の父、ラマ・フクロッシは独立を宣言した。新天地を求め、現在のこの地を見つけたわけだが、何一つ楽な事はなかった。ピクシー族とトロル族を連れた放浪の旅だった事もあるし、何より5万人が一気に放浪者になったからだ!
父は苦労人だ、国民が困っているとすぐに顔を出し、そして解決していった。そんな父を私は誇りに思う。」
「・・・でもなんでそんな父ちゃんいるのに世代交代したんだ?」
「その事だが、実は上層部の数人しか知らないのだが、父は既に亡くなっているのだ。殺されたのだ。」
「な・・・殺されたって事はあんたが国民にも報告しないまま、その変わりをしているって事?」
「そういう事だ、イルグル君と同様、私も国民に嘘をついている事になる。木下健太は知らないかもしれないが、父は病気で寝込んでいる事が多いと国民には知られている。」
「・・・あんたは・・・今のままでいいのかよ⁉︎外交官を俺がする理由は父親と関係あるのか?」
(なんだ?なんなんだこの国は、ある意味めちゃくちゃだ!)
バッドは少し黙り込んだが、再度口を開いた。
「外交官をお願いした理由と父の死は全く関係は無い。木下健太、今ラマ国の外交官は次々と行方不明になったり、殺されたりしているんだ。けれど・・・」
健太はバッドの言っている事の意味が全くわからなかった。その為、イラつき始める。
「待て待て待て!!さっきから一体何が言いたいんだ?少し整理するから待ってくれ!
先ずは、ラマ国の王は、殺されて亡くなってバッド隊長がそのまま俺を引き継いだ。
しかしまだラマ王が亡くなった事を国民に言っない・・・と。
んでもって、今までの外交官は行方不明や殺されたりしている中、俺に外交官をさせようとしている・・・と。
こう言う事なんだな?」
「・・・すまない、木下健太。」
父親の話しをしていて外交官の話しになった時、外交官になると自分が死ぬかもしれないと悟った健太は、詳しく聞く必要があると感じた。
「先ずは一つ目の問題だけど、父親の死をこのまま国民にも黙っておくつもり?」
それを言うと黙り込んでしまう。気持ちは分かるが、言わないと当然前には進めない。進めないと国が滅ぶ可能性もあるのではないだろうか?
しかし、次に述べたバッドの発言に、健太は固まってしまったのだった。
「父は・・・外交官と共にバドーム帝国のエルフに殺されたのだ・・・」
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