バピラ〜異世界転移したと思ったら、45億年後のタイムスリップでした〜

織田 福之助

1章 ピカトーレンと他2国の謎

第1話 飛んで異世界?

ピッ!ピッ!ピピー!!

運動公園のサッカー場に鳴り響く笛の音、小学生達がサッカーの練習試合をしていた。

先程の笛はどうやら試合終了の笛だった様子。良く見ると6ー0、大差であった。


試合終了後、コーチは選手を一列に並ばせる。少年野球やサッカーではよく見る光景だが・・・


『クォラ!健太!またお前はボールから目を離しやがって』

 この大差にコーチは御立腹の様子。しかしこの健太という少年も黙ってはいない様で・・・


『いや、だってよう、敵の10番よりどうしても目立ちたかったからよう・・・』

 わけのわからない理由にコーチは少しカチンときた様子。


『おバカ!!目立つ目立たないを意識してやっていたのか!何か理由があるのか?』


『・・・いや・・・敵のサッカーチームにいつもいるあの。』

 健太は指を差してコーチに言い訳を説明する。そこには健太達と同じか少し年上だろうか、薄っすらと赤い髪に耳当てをしている娘がいた。

 今思えば不思議な娘である。なんせ暑い夏でも耳当てをしているのだから。


『ん?あの娘がどうかしたのか?あの子は確かあのチームにいるコーチの娘さんだが?』


『い、いや〜俺さ〜コーチ、1年くらい前からあの娘に一目惚れしてさぁ、やっぱりカッコいい所を見せたいじゃ・・・』


『健太!!お前は何の為にサッカーしてるんだ!!グラウンド10周走ってろ!!』

 自己中心的に行動し、チームの足を引っ張る健太、コーチが怒るのも当然である。他の仲間が水分補給をし、クールダウンしている中、健太は1人でグラウンド10周走る事となった。

その顔は、少し眉間にシワを寄せ、怒っているのか走って苦しいのか分からない表情であった。


(クッソー、なんで俺が走らなきゃいけないんだよ!それに何の為にサッカーしてるかだって?そんなの・・・カッコいい人に見られたいからだろうが!)

そんな事を思いながらも健太は走った。



 それから数分が過ぎた。健太がグラウンド6周目に差しかかった時であった。

健太は少し走るのがキツくなった。苦しくなると顔が上がってしまう。そして、健太は空を見て走った時、西の空に黒い物体が浮いているのが見える。


『ハァッハァッハァッ、な・・・何だありゃ』

 この運動公園からはかなり距離はあるが、黒い何かが動いている。それはまるで魚の様な動きで、空を魚が泳いでいる姿に見えた。

 健太は走るのを止め、西の空をジッと見ていた。

 一体、あの魚の様な黒い物体は何なのだろうか。


『コラーーー!!健太!!走れ!!』


 遠くからコーチが足を止めて空を見ている健太に叫ぶ。健太はコーチを一度見た後、直ぐに西の空を見たが、その時には黒い物体は空を泳いでいなかった。

 健太は首を傾げたが、それよりも早く走り終えようと考え、再び走り始めた。





 サッカーの練習試合が終わり、仲間達と歩いて帰る健太。

少年達が健太に話しかけた。


『なあ、健太よう、コーチの言ってる事は間違えていないぜ?』


『そうだぞー健太、1人でサッカーするなよ〜?11人でするのがサッカーなんだからさ!!』


『それにしても、健太はあんな娘がタイプか〜、春も夏も秋も耳当てしてるおかしな娘だって聞くぜ?・・・って、聞いてねぇや。』


 仲間達は注意したが、健太は聞いているのかいないのかわからない、難しい顔をしていた。

 そう、先程の魚の物体が頭から離れない様子。


『どう見ても、あれ・・・サメだよな?』

健太は独り言の様にボソッと呟いた。


『どうしたんだ?健太?』


『え?あっ、いや、なんでもない!』


 健太は少し心配になってきた。本当にあの魚はいたのだろうか?自分が幻覚を見たのではなかろうか?腕を組み、そればかりを考えている。


『まぁ、次はチームワークを優先しろよ、俺らはこっちだから、じゃあな〜』

 それぞれ手を振って別れる。それぞれが家に帰る中、健太は違った。そう、今から塾に行かなければならないのだ。


健太は現在12歳、小学6年生だ。塾には2年前から行っている。いや、正確に言えば無理矢理行かさせられていると言った方が良いかもしれない。成績表を見た母親が判断したのだった。


『やれやれ、眠い。サッカーした後の塾の日は一番辛いわ〜。』

 信号待ちをしている健太はつい独り言を漏らした。信号が青になると塾は目の前だ。健太のテンションは下がっていく、そんな時、再び健太はあの魚を目にした。


『あっ、まただ。』

 今度はほぼ真上辺りを泳いでる。間違いなく黒いサメに見えた。

 そんな時、同じ塾生が真上を気にしている健太に気付く。


『よう、何してんだ健太?早く塾いこうぜ?信号青だぜ?』


『あっ!修一!あの空、あれ見てみろよ!?サメだ!サメが空を泳いでいる!』

 健太は同じ塾生の修一に声を掛けられた為、彼の肩を叩き、黒いサメを見るように指差した。


『ん?・・・何かあるか?』


『え?何も見えないのか?』

 修一には見えず、俺にしか見えない?そういう事なのか?

っとそう思いながらもサメを見ていると、サメが健太に近づいて来ている様な気がする。


『あっ、近づいて来る!』


『?? 一体どうしたんだよ、健太!』

やはり修一には見えない様だ、そしてサメは更に健太へ近づいて来る。きっとあのサメは50センチくらいの・・・いや、1メートルはあるサメ?いや、2メートル、3メートル・・・5メートル、いやいや!10メートル!!

 黒いサメはどんどんと近づいてくる。


『う、うわぁぁぁああああああああ!!』



「我はダークルカンなり!貴様、俺が見えるのだな!」


『え?しゃべった?』




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