トリカゴブレイカーズ。
王叡知舞奈須
プロローグ:自由の為の戦い
ずっと考えていた。
自由になりたい、と思うことが罪になるというのなら。
どうすることが背負うべき罰になり得るのだろう、と。
何日も、何年も考えてきた。
その果てに辿り着いた、一つだけの
自由になりたいというのが罪だというなら。自由を目指すことが背負いし罰だろう、と。
アスファルトの地面を駆ける二つの影。
ヒトの体格より4、5倍は巨大な、それでいて少なくとも片方は人型をした計二機の機械。
片方は黒色を主体にオレンジ色で所々を塗装した人型の機体。その機体ともう一機が共に両脚の駆動輪をフル稼働させて駆け回る。その双眸が睨む先を走るもう片方のは、異形染みた体躯の白い機体。
二脚で立ち、四肢を持つ、という意味では人型といえなくもないが。肥大化した腕部、獣脚を思わせる逆関節を併設した脚部、何より嘴状に尖った顎が目立つ頭部。その容姿からの印象ではどうあがいても人型と呼ぶにはいささか異形過ぎていた。
「なんで……何で、貴方が……!!!」
黒い機体に乗る女性が、動揺で言葉を失いかけている。
白い機体が睨み付ける様に視線を向けるその頭部の下で、胸部装甲が破壊されたことで剥き出しになったコクピット内部に座る人物を確認してのことだった。
「何でこんなところに居るのよ!!? よりにもよって、何で……その機体に……!!!」
白い機体の搭乗者は、身体のあちこちが傷痕だらけの、まだ若い男。上半身が裸で、下半身に履いたズボンも至るところにダメージが入っている。
その男は彼女の知人だった。二年前に行方不明となっていた幼馴染み。
彼もまた彼女を認知していた。
『自由だ』
男が口を開いた。そう言いながら、操縦桿を動かし機体を駆り続ける。
『自由になりたい。その為に俺はここに居る』
素手で殴り掛かる白い機体。画面が割れた破片で生傷が付こうが、男は構わずに戦闘続行の意志を示す。
『ここで戦っている! この機体で! 決めたんだよ俺はッ!』
跳躍し、距離をとった白い機体。
撤退する、訳ではない。
彼が武装を使う為に間合いを開けたのだ、と、彼女はすぐに理解した。
『こんなトリカゴみたいな世界、ぶっ壊してやるって!』
白い異形の機体が右前腕部からブレード状の武装を展開する。
黒い機体もまた剣を構えた。
「
『
さっきまで生命だった、あるいは兵器だったものたちが辺り一面に転がるその戦場で。咆哮する二つの巨影は互いに交錯していった。
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