俺に片思いの彼女の心の声が聞こえるので誰か助けてほしい。

ビートルズキン

彼女と恋人になるまで

第1話 始まり

 俺の名は二家本猫八にかもとねこはち

 

 17歳の健全なる高校男子。


 オタクだし猫目だから陰キャ扱いされる普通のモブみたいな俺は新学期早々席替えを行ったある日、特殊能力に目覚めたのである。


 それは「隣の席の女子の心の声が聞こえる」というくっそしょぼい能力である。


 隣の席にいるのは黒髪ショートカットの凛々しいお姿とモデルのようなスタイルの良さでキリっとした緊張感のある表情をした、学校のだれもが認める美少女、桒名一花 くわないちかである。


 学校内でクールな印象の彼女は何を隠そうあの名家桒名財閥の令嬢であり眉目秀麗文武両道の才女でありながらその謙虚な姿勢は誰もが尊敬の念を抱く。


 彼女は俺のようなモブからすれば当然、高嶺の花であろう。


 そしてファンクラブが学校内にあるため、一花様と呼ぶのが通例らしいが、俺が読んだら己のキモさに拍車がかかるのである。


 今日も俺はアニメのことを考えながら一人ラノベを読みながらニヤニヤしているのである。

 

 同情するなら萌えをくれ。


 ここまでなんだかんだ言っているが結局すごい高値の花の美少女が席替えしたのでいたたまれなくなって朝のホームルームをラノベ読書で乗り切ったころ。


 なんとなく視線を感じたので一花のほうをみる。


『あぁ、今日も猫八様、ご機嫌麗しゅうございますわ!」


という心の声が聞こえるが実際は、「何?私の顔に…………何かついている?」


と淡々としたクールな声で一蹴される。


 しばしの回想に入ろう。


 俺は俺は席替えされた瞬間、彼女の声で再生される彼女の心の声があまりにも普段の彼女と違うため、俺は自分の妄想が脳に謎の奇病を発症したようだ。


 ちなみにその時の声はこんな感じ。


 「おほぉおおおおおお、猫八様の隣の席ですわぁああああああ、嬉しいぃいい♡」


 なお、この時の彼女は真顔である。


 笑い堪えるのに必死で死ぬかと思ったわ。


 これは俺と彼女の数奇で奇怪な恋愛のような恋愛じゃないような物語だ。


 …………そう思いたい。


 回想終わり。


 


 

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