マイリトルシシリヰ

ねなしぐさ はな娘

第1話

まだ小学校3年生だった姉と、いつか2人でに行こうねと約束した。

三年経って、姉は父とイタリアへ行った。

私は届出用紙を片手に持った母と祖母と

日本のコンビニも遠いような片田舎に残された。


父とよく似た顔の姉は母に嫌われたのか、

コケシのような顔の私をイタリアへは連れて行きたくなかった父の意向からなのか。

家族はぷっつりとちぎれ、私たち姉妹は海と時間とに遮られた。

雨の振る日は鬱々として、晴れた空を見てはため息をついた学生時代。

学校までもが自転車で通っても優に40分かかるような僻地が住処だった。

私が筆で一本線の引いたような目と低い鼻の見た目じゃなければ、姉と一緒に今頃はイタリアで今日のご飯の買い出しにだって行けていたかもしれない。

そう思うと酷く目に映る環境が窮屈で、みじめだ。

大学に行く余裕も予定も持っていなかった私はすぐに働いた。



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