第19話 え?舌打ち?

いつものように、近所のスーパーへ行き、今晩のメニューを考えながらカートを押していた。


すると、ちょうどカーブのところで、気づくと向こうから来たカートと至近距離で


相対していた。


おっと・・


私が右に行こうとすると相手も同じく右に


左に行こうとすると相手も左に・・


そしてもう一度右に行こうとして相手も右にとなってしまった。


うわぁ・・気が合いすぎだ・・


止まって会釈して


「すみません」


と言おうとして喉まで声が出かかった時・・


相手の男性はあからさまに顔をしかめて


「ちっ」


と舌打ちをした。


え?


眼の前で舌打ちされるって、どういうこと?



怖い!!



思わず下を向いて、後に下がり大きく相手を避けるようにカートを押してその場から離れた。


ドキドキが止まらない・・・


相手の男性って、どう見ても私と同年代の部類だった。


なんで、怒ってるのか、舌打ちしたのか・・


あの状況どう考えてもお互い様だよね。


なんで私が舌打ちされなきゃいけないんだろ。


もやもやする!


ほんとにもやもやする!


夕食を取りながら旦那さんに話すと、


「なんで、舌打ちしたんですか?って聞かなかったの?」


「そんなん、怖くて聞かれへんよ」


「まあなあ、こんな世の中、何されるか分からんからなあ。


まあ、しかし、相手が若い女性なら鼻の下伸ばしてデレデレしてんじゃないの。


そうゆうヤツは。


おばはんが自分の通行を邪魔するのが気に入らんかったんかねえ。


にしても、年取って視野が狭くなるんかねえ。


自分のことしか考えてない大人って醜いな。


まあ、俺らは少なくともそうならんように気をつけなあかんよな」


「だよねー」


旦那さんに喋って、もやもやが晴れて気持ちがスーッとなるなんて


久々じゃないか。


ほんと、逆転満塁ホームラン並にスカッとしたわ。


ありがとう!

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