第16話 うまいよ
「うまいよ~。母ちゃん!」
帰省した長男は、本当に美味しそうに何でも食べる。
朝食の食卓の並べたのは白米、
納豆、有明産の有明海苔を使った∞海苔、
味噌汁、
きゅうりとレタスとトマトのサラダ、
ゆで卵、
はちみつをかけたヨーグルト、バナナ
どれもこれも普段どおり・・
あ、そうだ!忘れてた。特別なやつ!
ローストビーフのラデッシュ添・・これは市販品だけど・・
これをサラダの上に豪華に2枚・・ウシシ・・
これだけで豪華さがちょっと違う気がする母・・
一人暮らしだとロクなものは食べてないんじゃないかという思い込みの為せる技。
「ただのきゅうりなのに、うますぎる~」
「だよね~。スーパーに売ってるのと鮮度が違うからね~」
「ね、ね、これって納豆混ぜたやつをご飯にかけるの?」
「そうそう!で、海苔とキムチをかけて豪快に混ぜて食べる。美味しいんだよね~」
「じゃ、こんなふうに混ぜて・・・」
お箸で納豆をぐるぐる混ぜている長男をみていると幸せな気持ちになる。
なんと平和な朝食・・
「これは簡単!そして美味い!これなら自炊が不向きな僕でもできそう!」
そうなのだ。大学生になってからな~ンチャって自炊をしていた長男はお休みの日には
なんだかんだと料理に挑戦していたようだが、就職してからは仕事と炊事の両立は非常に
困難な課題だったようで、単発ではこったお料理ができても冷蔵庫の中には食べ切れない食材が
あちこちで賞味期限を超えて悲しい姿となってゴミ箱へと消えていったようだ。
長男曰く、妹が継続的に食材管理をしながら自炊を楽しんでいる事実と向き合ううちに
自分の特性を認識した。自炊はやめて、ゴミの出ない外食一本に絞ると。
それはそれでどうか・・と思うところも無きにしもあらずであるが・・・
まあ、本人も考え抜いた末の結論・・やってみるのは大事なことかも。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます