第13話 密かな秘密・・それは盛り塩!

私の向かいの席には、敵が座っている。


敵は私の給料のおよそ2倍もらっている。が、仕事は半分しかしない。


その分の仕事は、私、他に回っている。


あんまりにもミエミエなので最近は薬袋は出さなくなってきたが、


薬袋を印籠のように机上に置いて


自分は体が、とかなんとか色々と理由をつけて仕事をしない。


変な空気を醸し出しているのがわからないのか、平気で人を指図する。


びっくりするような簡単で少しの仕事を、いかにもたくさんしているかのように


「あー忙しい。大変だ」


と言いながらする。


明らかに、ヒマでヒマで仕方ないと思う。


湿布薬の匂いをぷんぷんさせて、


みんなの前でふらついてみせたりしたこともあったっけ。


さすがに、そこまでするかとびっくりしたなあ。


何かミスすると、必ず人のせいにするからとても気分が悪い。


どんなコネがあるのか・・


というとその人の旦那はここではないが関連部署の管理職なのだ。


世の中はこれでもかというほど理不尽にできている。



なので、できたら関わりたくない。


関わるとろくな事がない。


席が向かいになってからというもの、夜中に何度も目が覚めるし、


嫌な感じが常につきまとっていた。


料理中にスライサーで親指の先端を削り、


キズパワーパッドが要らなくなるまで2週間かかった。


おまけに携帯を職場に忘れてきたことに気づいてUターンしたら、


パトカーにサイレンを鳴らされ、Uターン禁止だよと


違反チケットを渡されるとういう憂き目にあった。


そういえば、去年敵の向かいに座った人は交通事故を起こしたんだった。


思い起こせば、ずーっと以前も同じ様なことがあった。



これ以上、悪いことが起きても困るんで、


神頼み?をすることにした。


思い切って密かに私は敵の前に盛り塩を置いた。


パソコン台の下で、敵からは見えないが、敵の目の前に。


そして毎日、手を合わせている。


「今日も一日、心穏やかに暮らせますように」


思い切って盛り塩をしてからは、不運な事故は起きていない。


気持ちの問題かもしれないが、盛り塩のおかげで、


よく眠れる様にもなった。


ありがとう!盛り塩!


私の密かな秘密!



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