第8話 死闘の結果

「はっ」


俺は目が覚めると同時に飛び起きた。

ここは……ああ、俺の部屋か。


「はぁ、何とか生き延びたみたいだな。ってあれ?なんか重い……」


下半身に重さを感じて見てみると、エレナが俺の足を下敷きにして椅子に座り眠っていた。


「おーい、エレナー」


「ん……あっ、アレン様! もうお体は大丈夫なんですか?」


「んー大丈夫だよ。それよりなんでエレナがここで寝てるの?重いからちょっと離れて」


「な、なんでって……アレン様が倒れたからでしょー!! ずっと心配だったんですから!! あと、私は重くなんかないです!!」


あ、まずい……怒らせてしまった。

早く宥めないと。


「あはは、心配してくれてありがとね」


「ほんとに、そう思ってます?」


「も、勿論だよ。ほらエレナ、僕の目を見てよ」


俺は精一杯に目を輝かせてみせる。

この輝く目を見ればエレナも納得するに違いない!


「はぁ……もう良いです! でも、でもでも良かったですっ本当にっ。うぅっ……」


エレナは手で顔を覆って肩を震わしている。

やべっ泣き出しちゃったよ。ど、どうしよ。


「え、エレナ……。本当にごめんなさい。 も、もう心配かけないから」


泣いた姿なんか見たことない俺はどうしたら良いか分からず、謝るしか出来なかった。

するとすぐさまエレナは手を離して顔を上げた。


「はい、仕方ないので許してあげます。

ふふっ私は優しいんです!」


エレナの顔には涙一滴流れていない。それどころか俺を見て悪い顔をして笑っている。

だが、その目元は少し赤く腫れており、もう泣いた後なのだろう。それを俺に知られたくなくて……。


「くそーエレナ騙したなっ!」


「ふふっアレン様の日頃の行いが悪いんです!」


「ふんっもう良いよ!……それより父様はどうしたの?」


俺が魔法を放ったところまでは覚えてるんだけど、その後どうなったんだろう。


「え、えーと。旦那様は気絶されたアレン様を抱えて戻ってきたんですが、それを見た奥様が大いにお怒りになってしまって……」


ああ、お気の毒に……。それと俺の仇を打ってくれてありがとう母様。


「旦那様はアレン様が目覚めたら、今日一日は安静にしろと伝えてくれって言ってましたよ」

 

「ふーん、そっか。いよっと!」


「あ、アレン様まだ立ち上がっては……」


「大丈夫だって。見たところ身体に傷はないし。初めて使う魔法だったから大量の魔力を消費したんだ、それで魔力切れになっただけだと思うし。もう動けるよ」


うん、もう魔力も回復しているな! あの時、掴んだ雷魔法の感覚を忘れない内に色々試したい。よしっ! そうと決まればすぐ行こう!


「全くもう……。どうせ何を言っても聞かないつもりでしょう?なのでその代わり、私は今日一日絶対に離れませんからね」


げっ、付いてくるのかよ。

エレナは一々口煩いところがあるんだよな。


「アレン様ー?何か問題でも?」


「も、問題ないです!!」


「ふふっ、それで良いんです!」


たくっ、エレナがどんどん強かになってるよ。誰のせいだよ!! そう、俺だよ!!


「もう、着いてきても良いから早く出よう」


「はい! お供します!」


嬉しそうだな、エレナのやつ。

まぁ確かに、最近は逃げてばっかで一緒に行動してなかったからな。

たまにはこういうのも……悪くはないかな?

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